第6話 こんな短いラブコメは他にない。
「起きなさい。」
と、母親の声と同時にエアコンの消されると音が聞こえた。
「あー、だるい。今日も学……。」
俺の体は口より早く動いた。
そして、親を退けて廊下を走り抜け階段を一弾飛ばしに玄関を勢いよく開けた。
やはり、そこには彼女がいた。
俺の彼女。「上野芽生」だ。
にこやかに、
「おはよう!葉月君!」
眠気は吹っ飛んだ。だが、食欲は抑えきれない。
「グゥ……。」
顔を合わせた。俺の顔を赤くなっているだろう。
「クスッ。」
と彼女が笑ったのが聞こえた。
「待ってろよ。食ってくる。」
とムスッとした顔で答えた。
彼女を待たせてゆっくり飯を食う男はここにしかいない。これが、「俺なのだ。」と。
そこへ、妹が来た。そう、空気の読めない妹だと思った。
「兄ちゃん、玄関開けっ放しだし、彼女待たせてるじゃん。」
と、飯が急激に不味くなった気がした。母親は二階で俺の部屋を掃除してくれてたから運が良かったが、親の前で言われたら病院にでも連れてかれてしまいそうだ。と思った。
「おい。お前、その口どうにか出来ないのか。」
と、何で覚えたのか分からないが、
「べー」
と、舌を出し飯に食いかかった。
俺は、すでに平らげていたのですぐに、支度をし、また玄関へ出た。
「葉月君、結構待たすね。」
と、にこやかに言われた。
「ごめん……。」
としか言えなかった。
「いいよ。葉月君と学校行けるなら。」
俺の実らないはずの青春は実ったのだ。
俺の実らない青春ラブコメはおしまいだ 闇の帝王 @Guilty_purin
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