美しく不思議な病と、少年少女の恋の話

背中に蝶の翅が生える奇病・クピド症候群。恋をすると翅が落ちて治るという部分も含めてなんとも美しい病。
そんなクピド患者が集められた虫籠と呼ばれる病院を舞台に、色々な「恋」を描いているお話です。

恋をすれば治るのなら、自覚した瞬間にさっさとその気持ちを受け入れてしまえばいい――と割り切れるのは元々こざっぱりした性格を持っている人か、ある程度経験を積んだ大人くらいでしょう。しかしこの病は成人前の子どもしか発症しません。
それなのに恋をしたら翅が落ちます。つまり恋をしたこと、さらに場合によってはその相手まで周りに知られてしまうのです。
多感な年頃にはなかなかハードルの高い状況……そんな中で彼らがどんなふうに自分や恋と向き合っていくのか、章ごとに視点を変えて丁寧に描かれています。

読んでいると思わず応援や心配をしてしまう、繊細で危うげな雰囲気。色々な「恋」を見てみたい方、必見です。

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