豚は丸焼きに限る。ただし骨つきで。

作者 濱野乱

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★★★ Excellent!!!

 衝撃作。この一言に尽きる。主人公の僕が幼かった時、世界は犯罪やテロ、難民や格差であふれていた。僕はその波に押し流されるように、国選花嫁の専門学校に入学することになる。そこでは友達や先生に恵まれ、身請け(卒業)のために環境が整えられていた。国選花嫁とは、つまりは、国の政策によって作られた娼婦に他ならなかった。より高い娼婦となるために、日々、学校で様々なことを学ぶのだ。だから僕は、豚だった。より奇麗で、より男の好みに合う豚になるために、少女たちは研鑽を積む。あるクラスメイトは出戻りでありながら、外国の大金持ちに身請けされた。一方僕の友達は、二束三文で身請けされた。
 そしてついに、僕にも身請けの話が舞い込んだ。
 しかし、ここから物語は暗転するのだった。
 次々に襲う衝撃の連続。
 過去と確実につながる僕の名前。
 僕の過去の名前を呼んでくれた人。
 「焼き豚」。
 この単語が意味する本当の意味を知る時、あなたは号泣し、戦慄する!
 そして、次々に回収される伏線と、加速する物語。

 この作品は、超重量級の物語であり、かなりの没入感があります。感情が物語に攫われていくという感覚が、いつまでも残ります。

 是非、是非、御一読下さい!

★★★ Excellent!!!

その少女たちの掛け合いはコミカルで、どうしようもなく若いだけといった雰囲気です。
しかしながら舞台は稀に見る特殊な生活空間。もう身請け先を決断しなければならない彼女たち。
実際に、この国選花嫁専門大学校から外の世界に出たのは、昨日まで同じクラスにいた生徒。
世界の仕組みに、追い詰められていくような息苦しさがあります。

★★★ Excellent!!!

第一印象はすごいシュールでぶっ飛んでる内容だなと思いました。

簡単に言うと「上級国民に身請けされることを目的とした(通称)娼婦養成学校に在籍する少女たちの物語」なのですが、これだけでインパクトあると思います。

でも、過激だなと思う部分がありながらも、普通の感覚ではとても想像できない物語の設定が巧妙であり、それでいて現実世界でもありうる問題が散りばめられているため、なんとも言えない中毒性を感じてしまいます。

このディストピアな毎日に主人公たちが本当の幸せを見出せるのか、それとも絶望するのか、先が気になる作品です。

★★★ Excellent!!!

物語の舞台となるのは、今よりずっと退廃しているちょっと未来の日本。そこではさまざまなろくでもないビジネスが横行しており、本作に登場する「国選花嫁専門大学校」もその一つ。

表向きは若い女性に無償で最新鋭の技術と教育を与えて、上級国民との出会いを与えるというものだが、その実態は、生徒を最新技術の実験材料にして、さらに金持ちに半強制的に身請けさせるという酷いところ。生徒の一人である不破瑞樹に率直に言わせれば、娼婦養成学校であり、生徒たちは皆豚ということになる。本作はそんなろくでもない学校が舞台の学園生活を描くディストピアな日常系作品なのである。

別に将来の見通しが悪くたって、現在のうちからうつむいている必要はない。いつもぼんやりしているクラスメートをからかったり、時には女子同士の下ネタで盛り上がったりするし、瑞樹の語り口もサバサバしていてそこまで辛そうにも見えない。

しかし、一見穏やかに見える生活の中にも、実験の失敗で障害を負った少女や身請け先で酷い目にあって出戻りすることになった少女の悲壮なエピソードや、卒業までに迫るタイムリミットへの不安など不穏な空気が漂っており、おかげで大きな事件は起きないにも関わらずついつい先が気になって読み進めてしまう。ハッピーエンドなど見つかりそうもないこの数奇な学園生活を通して、彼女たちはどのような未来を掴みとるのか?

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)