概要
昭和三〇年代の石見地方の漁師町に生まれ育った少年の成長の物語。
山陰の石見地方の、小さいが底曳き漁の盛んな漁師町で生まれ育った健太は、町の漁師に憧れ、中学を卒業して漁師になる希望を抱く、海が大好きで素潜りの得意な小学六年生だった。小学生最後の夏休み、仲良しの武、洋二と一緒に、大人の漁師でも潜るのを敬遠する程深い沖の瀬に挑戦して大漁を得て、自分が大人になったように誇らしい気持ちになるが、その夜に他の町からやって来た男達の密漁を発見し、大人が皆誠実に生きている訳ではない事を思い知る。また夏祭りの朝、養殖の計画を余儀なくされる程、港の漁獲高が減少している事を知り、漁師への夢に翳りを覚える。そして盆明けに台風が過ぎ去った後、大人になれたような気にさせてくれた沖の瀬で、外海の強烈な潮の速さを体験し、生まれて初めて海に対する恐怖を覚えた健太は、自分が未だ子供であり
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