仮)第2章 1-2

卵と塩でゆで卵を作ろうというのではない。

あらかじめ用意してもらった種籾を、網袋と軍手を使ってのぎを取り、

前処理をする。

大樽に塩水を作って生卵を入れて、塩の量を調節する。

水面に卵が顔を出したくらいで濃度はちょうどよくなった。


「塩水選」である。

非常に簡単で少ない材料ででき、明治時代の日本が1割も収量を上げたとされる

方法で、何より収量が上がれば飢える人は減るし、みんなに感謝される。

先ずは地歩ちほを固めるところから。


浮いたもみを「悪い」と言いながら樽に入れ、沈んだ籾を「良い」と言いながらまた別の樽に入れる。

奇跡的に「良い」の記号は〇、「悪い」の記号は×だった。


「良いの記号がレ点チェックとかでなくて本当に良かったな」

と思いながら作業を続けていると、リヨビスさんが理解したのかいっしょに

作業をしてくれた。


作業自体は面倒ながら非常に簡単なのだ。

できるくらいには。

労働を手伝った役得として「悪い」の籾は食べてもいいでしょ。

手伝いが増えるし。

などと思っていたらリヨビスさんが魔法?を使って効率よく選別し始めた。


それはあまりよろしくない。

魔法?を使うとどのくらい疲労するかわからないけど、「庶民が」やらなくちゃダメなんだ。


「リヨビス やる ダメ、下の人 やる 仕事」

「わかりました」

「悪い種 食べる 問題ない、良い種 植える」


とクギを刺し、「仕事する 悪い種 持って帰る 食べる 問題ない」

と報酬を提示したら群がってきた。


あっというまに仕事は片付き、収量を上げる第一歩は整った。



次はどこに手を付けようか。

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いたすともげる異世界に迷い込みました 宮脇シャクガ @renegate

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