1-5

月日は過ぎて、高校3年の春。ついに俺は1周目の年齢を超え、18歳になった。

しかしそんなことを言っている時間もない。大学受験だ。正直、ここから先は初見プレイだから不安も多い。


進路先を決めるとき、俺はふと、幼稚園に通っていた頃を思い出した。精神年齢はその頃から17歳前後だ。10年以上前のことでも、比較的はっきり思い出すことができる。


俺の使っていたおもちゃを常に横取りしようとする子や、親と離れたくなくて毎朝泣き叫んでいた子、様々だ。先生もいい人だった。


ゆっくり考えていくうちに、俺は小さい子どもが大好きなことに気付いた。それなら進路は一択ではないか。


「うん、保育士になろう。」


俺はこんな軽すぎる動機で、家から1時間程の場所にある大学の、保育学部に進学することに決めた。入試もなんとかパスして、俺の高校生活は終わりに近づいていた。


そういえば、光樹と榎本さんは、高3の6月頃に別れたらしい。受験勉強が忙しいと、この時期にはよくある理由で光樹はあっさり振られた。


これで俺たち5人は全員彼女無しに戻って、清々しい気分のまま卒業だ。新しい生活の始まりに、俺は期待が高まっていた。






…だが、俺の新生活への淡い期待は、入学早々打ち砕かれることとなる。察しのいい人ならなんとなくわかるだろう。俺の進学先は、『保育学部』だ。


ここまでサクサクと俺の2周目の人生を説明したが、本番はここからだ。今更だがこの物語は、俺の大学生活を覗くものだからな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生2周目、保育士志望の俺にわからないことはない! るん @lunn93

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ