第19話

「海ね」


「海だな」


「タツと海の洞窟で青姦したい」


「バカなこと言うなこのアホ姉貴!!」


俺らがバスで向かったのは、とあるビーチ。何処にでもある普通のビーチなので、人も大量に居る。

バスを降りて階段を降りて砂浜に降りると、夏らしい暑い風が俺の肌を撫でる。


「あっちぃ…」


気温は既に35度を超えている。こんなクソ暑い状況なのに海に行きたいとかバカじゃねぇか?と思ってしまった。


「じゃあ着替えるとするか」


〜〜〜


「おまたせ〜!」


先に更衣室から出てきたのはハル姉だった。紫一色に染まったビキニを身につけ、そのデカイ胸が露出している。完璧に男を誘惑するその装備品に、少しだけ目を奪われる。


「あっれぇ?もしかしてお姉さんに魅了された?」


「ンなわけあるか」


それを軽く受け流すと、摩耶とミリアも姿を表す。ミリアも黄色い水着に着替えいたが、摩耶は…水着の上からジャージを着ている。


「摩耶?どうしてジャージ着てんだ?」


「いや…達海には後でじっくり水着を見せるから安心して…」


「いや別に見たいと言ってるわけじゃねぇぞ?って…あぁ…そういうことな」


ミリアとハル姉の胸を羨ましげに見つめる…というか睨んでる摩耶。2人に比べたらやや劣るスタイルだから、それが嫌だったんだろう。


「というか…何食ったらそんなに大きくなるのよ…」


「私は自然とこうなったが…」


「ぐふっ…」


かなりの追い討ちをかけたミリア。しかも本人に自覚が無いときたもんだから余計にタチが悪い。


「じゃ、じゃあそろそろ泳ごう。折角来たんだし、楽しもう」


強引に話を変えるが、まぁその為に来たんだし、これで良いだろう。

3人は目の色を変えて、俺も自然と笑顔を浮かべながら海に向かって飛び込んだ。


………

……


「アレ…達海?」


「隼也?」


海で遊んでいると偶然顔を合わせた俺ら2人。神谷隼也。サッカーの授業で偶然出会った俺の友達なのだが…なんでここに?


「お前……なんでここにいるんだ?」


「それはこっちのセリ…あぁ…そういうことか…」


いきなりニヤニヤとし始めて強引に俺と肩を組んで小声で言った。


「流石達海。あの三大美女を落とすとはやるねぇ?」


「なっ…テメェその情報どっから…!」


「僕って学校ならかなり顔は広いからね。この程度の情報なら集められるんだ。それよりこのビーチって、近くにラブホがあるからカップルの使用が多いんだけど、まさか達海もそれ目的?」


「ちげぇよ!!これハル姉達に連れてこられたんだ!!つか近くにラブホあんのかよ!?」


これ絶対危ない奴だ!早く逃げないといけないと俺の第六感が大警報発令中だ!!


「うんうん。あ…ごめん、僕そろそろ行くから…」


「ん?おう、じゃ、じゃあな」


なんか急によそよそしくなった隼也、というより、何か獣に睨まれた草食獣のようなものを感じた。

だけどそれと同時に、ハル姉が後ろから俺に抱きついて来た。


「タツ〜。私に構いなさ〜い」


「はいはい…分かりましたよ」


その後、俺らは沢山の遊びを行ったのだった。勿論健全な奴な?


………

……


「ぶっはぁ!!面白かったぁ…」


水着から服に着替えて大きく背伸びしてバスを待つ。だけど3人の顔は、やけに神妙な顔となっていた。


「どうしたんだよ3人とも」


「いや…達海、少し目を瞑ってくれないか?」


「ん?まぁいいけど…キスとかはすんなよ」


「あぁ、それは約束しよう」


そう言って俺は瞼を閉じ、何かがあるのかと期待する。だけど俺に来たのは、口元になにかを押し付けられるような感触と、空気が鼻の中に入ってくる感触。


「っ!!ううっ!?」


「済まん達海…こうでもしないとお前は来ないからな」


そして、一瞬で俺の意識は暗転したのだった。

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学校三大美女に告白されたんだが、マジでどうすればいい? スライム @5656200391

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