最後の願い~もっともっと遠い世界へ~

姫亜樹(きあき)

最後の願い~もっともっと遠い世界へ~

人々に忘れられ

放置された砂利の山を

黄色い花の群れが囲む

月の風が花々を揺らし

ぼくたちを祝福する


「ごめん」としか言えないぼく

悲しそうに微笑む君


ぼくらは世間に忘れられたくて

遠く見知らぬ土地へ来たけれど

何処へ行っても

世の中はぼくらの恋を

否定し続ける


心許せたはずの人々は

ぼくらから遠ざかり

世の中の人々に混ざってしまった

ぼくたち二人

行くあてもなく

ふらふらと彷徨い

この

人々に忘れられた場所に

辿り着いた


夜が深くなり

ただ静かに

本当に静かに

時が過ぎていく


「旅に出よう

もっともっと遠い場所へ・・・」


赤い星が

ぼくの視界を埋め

互いのぬくもりの中

ぼくらは時を止める


月の下

ぼくたちは眠るように

金色に輝く花の群れに

この身を預けた

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最後の願い~もっともっと遠い世界へ~ 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

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