第2話 人それぞれに

シャクッ…

おい…何か食ってる音がしてるぞ…

シャクッ…

台所の方だ…台所から音がする…

「あっ!!お前またリンゴ勝手に食っただろ!?」

「はて…何のことですかね…ムシャムシャ…」

何のこととか言っておきながら片手には既に半分もかじられたリンゴを持っている。

「お前なぁ…食うのは良いけど先に言えって言っただろ。」

「すみません、ちょっとお腹が空いたものでして。」

言い忘れたがこいつは竜人という種族らしく、完全な竜にもなれる。だからなのか、良く腹が減るみたいだ…てかその理屈は何なんだよ…

「明人さん、今日も学校ですよね?」

「まぁ…平日だしな。学校はあるよ。」

「あ、あの…!」

「ん?」

「明人さんが学校にいる間は私が家事をします!」

い…いきなりなんだ…

「家事全般を私がやります!洗濯も買い物も…私が全てやります!」

「お、おぉ…そうか…」

こんな気迫で迫られたら断れるわけ無いだろ!!買い物もって…コイツ大丈夫なのか?


ー夕方ー


「頼まれたもの買ってきましたよー!」

「うん、しっかり頼まれたもの買ってきたみたいだな。」

頼んだのは海老、ホワイトソース、マカロニ、ニンジンやその他の野菜だった。

「うっし、じゃあこれで海老グラタンを作るか!」

「グラタンですか!良いですね~♪」

夕飯の仕度をするため、台所へ買ってきたものを移動させた。


ー数時間後ー


「おぉ~…こんがり焼けてますよー!」

「良い焦げ具合だな。マリア、熱いから気を付けろよ。」

二人で熱々のグラタンをテーブルに運び、食卓を囲んだ。

「「頂きます。」」

スプーンでこんがり焼けた部分をすくうと、溶けたチーズが伸び、ごろっとした海老とニンジンが出てくる。

「う~ん!チーズと海老とマカロニの相性が抜群ですね!」

「そうだな。やっぱりグラタンは海老を入れるにかぎるな…」

今日は飯が一段と美味しいような気がした…マリアの家事が成功したからか?洗濯もしっかり干せてるみたいだし、期待しても良いかな…



ー現実世界、都市部ー



「中々見つからないね…今回の人物。」

私達は今回会うべき人物であるマリア・カタストロフの捜索に苦難していた。

「それだけ広い世界ですからね。捜索は極めて困難でしょう。」

「確か竜になれるんだっけ?それ以外に何か特徴ないの?」

「身体的特徴でしたら…薄い金髪のポニーテールで、外見年齢は10代後半の少女ということです。」

「とりあえず私と同じくらいってことか…」

良かった身体的特徴が掴めてて…なかったら大変になるところだった…

「というかこの世界凄いな~…人間以外の種族まで出入りしてるなんて。」

お父さんが見たら…多分大興奮してるんだろうなぁ…


ーマーセル邸ー


「ヘックシュン!!」

「あら…ラルス、風邪?」

「いや…ただのくしゃみだ。」

「それなら良いんだけど、あの子達大丈夫かしら?」

「俺も行きてぇよ~…あの世界にさぁ…」

「きっと大丈夫よね、心配しすぎよラルス。」

「まぁな…今回の世界は二つで一つのイカれた世界だ。困難にはなるだろうが、二人ならきっとやれる。」

「そうね…ところでラルス、できたてのレモンチーズケーキ食べる?」

「夕飯前にそんなボリュームあるもの作ったのかよ…」

続く。



次回予告

「ようやく見つけた…!マリア・カタストロフ…!」


「なるほど…!セリドさん達も異世界から来た人達なんですね!」

「あ、いや…そういう意味じゃなくて…」


「異世界にあんな怪物いましたっけ?」

「あれは魔獣だよ!私達の世界の生物!」

次回「交わり」

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異世界×セカイ Next @Trex

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