第1話 融合した世界
とある日から俺(私)達の世界は変わった。世界は遂に知ってしまったのだ。異世界(現実世界)が存在するという事を。フィクションの中だけだと思っていたその世界は確かにあった。その日から現実世界と異世界は協力関係となり、二つの世界の人々は現実世界と異世界を自由に行き来出来るようになったという。
ーこれは、俺(私)が出会った人物との物語ー
異世界×セカイ
コトコト…
「おい、そんなにスープ見てて何してんだ。」
「もうお腹空いたんです…」
「お前さっき菓子食ったばっかだろ。飯の時間になるまで待てよ。」
ほんとにこの竜人女は…何でこうも腹が空くのが早いんだよ…
「じゃあ先にお風呂入りますね。」
「あいよ。」
でも、俺はあいつと出会ってから何か変わった気がする。俺から孤独が消え去ったせいか、少し明るくはなったかな……
ー数ヵ月前ー
高校からの帰り道、俺の家が見えてきたところで誰かが家の前で倒れているところを発見した。それが後のマリアだったんだ…
「おい!?大丈夫か!?」
「うぅ……」
この時のマリアはやや痩せ気味になっていて、命に危険は及んでいないことは見て分かった。
「と、とりあえず中に…」
どうにかマリアを担いで家まで運ぶ。痩せ気味とはいうが、後から知る理由により、結構重たかった。
ー数時間後ー
「んっ……」
どうやら目を覚ましたみたいだ。
「ここは…?」
「ここ、俺ん家。家の前で倒れてたから中に運んだんだ。」
「すみません…勝手に人様の家に匿ってもらって…」
「俺が勝手に判断して匿ったんだ。気にすることはないよ。」
ギュルル~……
不意に彼女の腹から大きな音が鳴った。一体いつから食べてないのだろうか…
「あっ、お腹が…」
「腹減ってるのか?待ってろ、今から夕飯作るから。」
「でも…良いのですか?」
「さっきも言ったろ、俺が勝手に判断して匿ったんだからって。」
「では、お言葉に甘えて…」
ー数十分後ー
テーブルの上には茶色く光るビーフシチューが二つ出されている。ビーフシチューを作ったのは今回が初だが、我ながら上手く作れたような気がした。
「いただきます。」
ごろっとした大きな肉を口に運び、その柔らかく崩れる肉に舌を打つ。
「美味しい…」
「だろ?俺、料理には自信があるんだ。」
「こんなに美味しいものを食べたのは久しぶりなんです。ありがとうございます…!」
「まだいっぱいあるからな。おかわりもどんどんしてくれよ。」
ー食後ー
「お前、これから行く宛があるのか?」
「正直なところ、行く宛はありません…でもいつまでもここにいては迷惑ですし…それに、ご家族もおられるのでは…」
「家族はいねぇよ。」
「えっ…?」
「俺の家族は全員病死して、両親が残した家に今いるんだ。他に家族はいない。俺一人だ。」
そう、俺には家族がいない。かれこれ数年間一人で過ごしているが、やはり一人は寂しくなることが玉にあった…
「すみません…嫌なことを言わせてしまって…」
「俺なら大丈夫だ。それよりお前の家族も大丈夫なのか?」
「私の両親は…母も同じく病死して…父はまだ生きているのですが、どこかへ飛び去って行方不明に…」
彼女も俺と同じように家族がいないなんて…そりゃあ現実世界まで来るわけだ…
「なら、断る理由は無いよな。あんた、名前は?」
「マリアです。マリア・カタストロフ。」
「マリアか。俺は南明人。今日からよろしくな。」
こうして俺とマリア…現実人と異世界人の奇妙な同棲生活が始まった。
続く。
次回予告
「あっ!!お前またリンゴ勝手に食っただろ!?」
「はて……何のことですかね…ムシャムシャ…」
「明人さんが学校にいる間は私が家事をします!」
「俺も行きてぇよ~…あの世界にさぁ…」
次回「人それぞれに」
※用語解説
・異世界と現実世界
つまりは我々が暮らすごく普通の世界と異世界のことを指す。現実世界においては特に何も変わってはいないが、異世界は国王による政治体制が行われている。この国王と現実世界の首相達が結託して現実世界と異世界を共存関係に結んでいるのが本作の世界観である。異世界はよく、魔法などがあると勘違いされやすいが、実際はそんなものは無く、現実世界と同じように機械や手作業などで生活していることが明らかとなっている。さらに、多種多様の種族が存在し、中には獣人など人並み外れた人種も存在する(当然人間もいる)。異世界にしか存在しない生物も沢山いる模様。
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