第12話
「負けないで」
ZARDの名曲。
今でも応援歌で使われる事の多い曲。
でも、男の俺が唄っていいのか?
香里ちゃんは、お願のポーズを取る。
ふぅ、どうなっても知らんぞ。
俺は唄った。
心を込めて・・・
唄い終わった後、香里ちゃんは涙を流していた。
俺、悪い事したか?
そして、一礼して去って行った・・
「お兄ちゃん、ありがとう」
英美里に言われる。
「いや、いいんだが・・・」
気になって仕方なかった。
帰宅する。
英美里は疲れたのか、先に休んだ。
深夜0時前、鏡の前に立つ。
はっきりするな・・・今日こそは・・・
「やっと、会えたね」
鏡の中の少女が言う。
「福島香里・・・さんだね」
「うん」
鏡の中の少女が頷く。
「今は、君の苗字の佐藤になってるけどね。えみりんは義理の妹さん」
「そっか・・・でも、言葉使いが違うな」
「こっちが素だよ」
少女は笑う。
「でも、たしか俺とタメ歳だったんじゃ」
「私、病気で2年休学してるんだ。だから、えみりんと同級生なの」
「そっか・・・」
深くは追求しないほうがいいだろう・・・
「でも、趣味がきっかけって言ってよな?」
「そうだよ」
「俺、カラオケは・・・」
「知ってる。でも、君にはもう、立派な趣味があるんだよ」
「何?」
「わからない?」
いたずらっぽく笑う少女・・・いや、もう香里でいいか・・・
「旅だよ」
「旅?」
「旅に出て、いろんな人と話す。それが君の一番の趣味。
私もそれに、感化されるんだ」
香里はそれ以上は答えない。
「じゃあ、未来の私とはこれでお別れ。
後はこの時代の私と仲良くしてね。」
「最後に、ひとつ訊かせてくれ」
「何?」
「未来の君は、俺と結婚して、幸せか?」
満面の笑みで、香里は答えた。
「不幸だったら、来ないよ。
私を選んでくれて嬉しい。じゃあ、がんばってね。旦那様」
手を振りながら消えて行った。
その場に立ちつくした・・・
「お兄ちゃん、まだ起きてたの?」
英美里に声をかけられる。
「なあ、英美里・・・」
「何?」
「香里ちゃんだっけ?仲いいのか?」
その問いに、英美里は答えた。
満面の笑みで・・・
【大親友だよ。姉妹になりたい】
鏡の中の少女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます