第4話 生活


 午前7時起床。寝間着から普段着へと着替え身支度を済ませる。

 その後、Bブロックにある大食堂にて朝食を済ませたのち、午前8時に食料工場へと向かう。


 午前8時15分。点呼並びに朝の健康チェック。

 食料工場前の広場にて簡易検査を受ける。


『次、管理番号202039234103013』


 安定剤を投与ののち、血圧、体重、体温を計測。

 留意事項があれば人間管理部の職員より喚起を受けるが今日はなし。


 午前9時。始業。動物性たんぱく質の合成工程に従事する。

 機械の操作ミスが3件、作業工程ミスが2件。工程管理者より注意を受ける。


 これ以上ミスをしたら配置換えとなるらしい。


 正午。他の作業員と共に工場内にある食堂へと向かい昼食。

 今日は衛生管理課からの指示で食後に簡易シャワーを浴びる。


 午後1時30分。就業再開。素材分離機の清掃と点検作業を行う。

 ミス0件。工程管理者より高評価をもらう。生産部門よりも評価が高いため、配置換え候補だと言われる。


 午後6時。終業。使用した道具の片付けや清掃を行い部屋へと戻る。


 午後6時30分。夕食前の健康チェック。

 Bブロック大食堂前にある検査室にて精密検査を受ける。

 結果は良好。貧血気味だとのことで栄養ドリンクをもらった。夕食と一緒に飲めとのことだ。


 午後7時30分。夕食。

 食事は健康チェックの結果に基づいて配給されているため、検査結果を給仕係へと提出する。

 今日の食事は疲労回復効果が高いC定食だった。


 午後8時30分。入浴。

 入浴着へと着替え洗浄室で3分の清浄と5分の入浴を行う。


 午後9時30分。夜間点呼ののち、午後10時に就寝。


***


 あの日……私がエデン3へとやってきた日からここでの生活に何の不自由を感じなかった。いや、感じないというよりかは感じられなかったという方が正しいだろう。


 理由はわからないけど、を受けた時からどうも何かを考えることができない。


 命令されたことを命令どおりにこなすだけの毎日だった。


 それは私だけではなかったようでエデン3の生活をしている中、何度か委員長や耀の姿を見かけたりすれ違ったりした。けれども、声を掛けようや挨拶しようなんて気持ちはの時はぜんぜん湧きあがらなかった。


 同部屋にいる子たちはみんな私と同じか少し上くらいの女の子だったけど、一度も会話をしなかった。知っているのは顔だけで名前すらも知らなかったのだ。


 彼女らについてわかるのは右目に映し出された管理番号だけだ。

 手術によって私の右目には何らかの機械が埋め込まれた。

 どういう理屈かわからないけど、この右目で他の人を見るとその人の管理番号と所属を見ることができる。


 例えば私なら【管理番号202039234103013】【食料生産部生産班所属】である。


 この機能が便利かと聞かれても別に便利ではないと答えるだろう。

 仕事中に誰かを呼ぶときに管理番号で呼ぶくらいにしか使わないし、エデン3での生活では困ることはない。


 まぁ、そんな感じにあの頃の私はエデン3の一員としてに暮らしていた。おそらく、あのまま何事も起きなければ何不自由なくエデン3で暮らしていただろう。


 そう、私がエデン3の一員として生活を始めて約1週間後にとある出来事が起きたのだ。

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ガールズ・アンド・ディストピア 中谷キョウ @nakayakyo

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