オチがなくたって、怖いものは怖い! 

「人間60年近くも生きていたら、いろいろと不思議な体験をするものである」ではじまる、作者の不思議な体験の数々! オチがないと物足りない人たちもいるでしょうが、オチがない方がむしろ怖いかも……と思わせてくれるお話がずらりと並んでいます。
 作者の胡志明(ホーチミン)さんは、証券会社でお仕事なさった後にIT企業を興して成功、ベトナムに移住して専門学校を作ったりと、様々な人生経験を積んでこられた方です。かつ、びっくりするほど好奇心旺盛な方で(本作の第22話『俺のスペック』参照)、こうしたことがベースにあって不思議な出来事の方が集まってくるのかなあって思ってしまいました。だって、経験によって五感が研ぎ澄まされたり、人とは違うアンテナが生まれたりしそうだから。
 ほかにもバブル時代の証券会社の裏側を振り返った作品やベトナム生活を綴った作品など書かれているので、とても興味を惹かれます。