「あなたは捨てられる物の気持ちを考えたことがありますか?」という問いは凡庸だろう。今作は違う。「あなたは使い続けられる物の痛みと喜びを考えたことがありますか?」いや、普通考えないって・・・!?でも物を大切に使うあなたなら、裁かれる主人公に必ずや共感するはず!そんな主人公を一人弁護してくれる「彼女」は誰(何)?最後に明らかになるのでオチまでしっかり楽しめます!
主人公は所謂「物持ちが良い」人。これは本来誉め言葉ですが、本作ではそれが原因で裁判にかけられます。無理やり物を使い続けたことを酷使したと表現されています。その一方で、それを擁護する物も現れ、この展開には脱帽しました。
ちょうど断捨離中のため、このお話が目に留まりました。設定は、物が原告で使用していた人間が被告。罪名は器物破損罪ではなくて、器物丁重罪。つまり、ものを大切にしすぎたことを理由に訴えられるという面白い設定。 この話を読んで、最初はものを大切にして何が悪いのだろう?と思いながら読み進めると、あ、そうではないのだな。と様々な物の声からわかってきます。 確かに物は大切に使うに越したことはないけれど、その物がくたびれてしまうほど使うことは、果たして「大切にしている」と言えるのだろうか? 一話完結ですが、非常に密度の濃いお話でした。
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