ネット社会の怖さを描ききった社会派中編

主人公は小説サイトの辛口コメント企画に参加して、読了した作品をバッサリと批評していく女性ユーザー。

しかし彼女のコメントに対して噛みついてくるユーザーが現れて、激しいストレスを感じてしまいます。そこで彼女は、つい他の古くからの友人とネット上のやり取りで陰口をたたいてしまうのですが……。

SNSをやっている方なら誰しも心に刺さるものがあると思います。
自分が発信したものに対して肯定的な人間、否定的な人間が現れて、承認欲求を満たし、あるいはやり場のない怒りを感じてどうしようもない気持ちにさせられる。

しかし、承認欲求を満たすことにとらわれた先にも、自分を批判した人間に対して攻撃性をむき出しにした先にも幸せな結末はないのかもしれません。

テンポよく展開していくストーリーも読みやすく、最後まで一気に楽しむことができました。
インターネット上の人間トラブルを見事に風刺して見せた良作です。
是非ご一読を。

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