中学一年生の白崎榛菜さんと彼女が通う学習塾で友達になった灰野晶くんたちが活躍する謎解き小説第二弾です。
井戸端じぇったさまの学園ミステリーがほかの作品とちょっと違うなと感じるのは、メインキャラクターである中学生たちのビビッドな色合いでしょうか。彼らはローティーンの子供であることに甘えることはなく、子供扱いされることを嘆くでもなく、自分たちの目線で世界をしっかりととらえ、常にまじめで一途です。
等身大だけれど、ちょっとだけ大人びて見える子たち。そんな彼らの活躍に、無我夢中だった自分の中学生時代をつい重ねて読んでしまいます。
今回の学校のミステリーは、真夜中に鳴るピアノ、消えて再び現れた絵、放課後に止まる教室の時計です。
学校の怪談のような、あるいは手品かいたずらのような事件に挑むのは、もちろん我らが探偵灰野晶くんと彼に続けと背伸びをする白崎榛菜さん。ふたりが謎を解くうちに、この三つの不思議な事件が繋がっていることが明らかになっていきます。そこに潜んでいたしみじみとした思いとは……
本作の特徴は、途中で「読者への挑戦」にも似た「問題」と「回答」が織り込まれていることでしょう。楽しく謎を整理しながら読み進めることができます。
また、本作の舞台は福岡であり、ご当地小説としても楽しむことができる読み応えたっぷりの学園ミステリーです。