恐怖は辛口コメント企画からはじまった

作者 明弓ヒロ(AKARI hiro)

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★★★ Excellent!!!

 私個人は、投稿サイトでの活動は分別ある文学愛好家たちが良識に則って活動するサロンのようなものと言う気持ちで活動しております。
 しかし投稿サイト、ウェブ上ではおのれの素性は隠されており、それゆえに良識から外れた言動が飛び出してしまう事もあるのかもしれません。

 誰かの作品のコメントに、辛口な意見を述べたいと思った方は、この作品を一読する事を強く推奨いたします。
 軽い気持ちで放ったコメントが、仄暗い末路への片道切符になるのかもしれないのですから……

★★ Very Good!!

はじめから「辛口コメントを書きます」と明記し、言葉通り主人公は投稿者へ辛口のコメントを返していた。
そんな主人公にある日、投稿者から返信がきていた。
そこから雲行きがあやしくなってきて―― 

小説の主人公は一つ歯車が狂ったことで、転がり落ちるように物事が悪い方向へ流れていきます。
SNSを活用していたら実際にありそうストーリーなので、学べることが多くてためになりました。

★★★ Excellent!!!

会員たちが自作の「詩」を投稿しそれを互いに評価しあう詩の投稿サイト『ポエむら』(どこかで見たような仕組みのサイトだ……)。そのサイトで千鶴は「主が辛口コメント書きます」という企画を始める。「なれ合いのコメントではなく本音の感想が欲しい」。そんな需要に応えるべく始まったこの企画。最初の方は好評で千鶴もノリノリで辛口コメントを書きこんでいたが、ある時千鶴の辛口コメントに対して痛烈な返信が送られてきて……。

ネット上の些細なやりとりをきっかけに日常の歯車が徐々にズレていく……というのが主なストーリーだが、本作はそれよりなにより千鶴と彼女のアンチであるPotter5のやりとりのインパクトが非常に大きい。正論といちゃもんを上手いこと織り交ぜながら、他人を煽っていくPotter5のスタイルは人によっては大いに参考になることだろう。

ちなみに本作で一番印象に残ったフレーズはこちら。「いくら『辛くても』まずいカレーはまずい。売れるには、『辛くてうまい』カレーを作らなくてはならない。言葉も同じですよ。ちゃんと、味のある『辛口』コメントをしましょう。」

煽り野郎の発言だし別に自分が言われているわけではないのに、ついこちらも襟を正しくなってしまうから不思議なものだ。


(「インターネットの向こう側」4選/文=柿崎 憲)

★★★ Excellent!!!

小説サイトで辛口コメント企画を立てている主人公。ある日、辛口に辛口で返してくるユーザーがあらわれて――。

辛口なのか悪口なのか――区別するのも難しいその裏には、誰もが持っているだろう攻撃本能がひそんでいる。なによりやっかいなのは、表面的な善意や正論で自身の攻撃性を正当化してしまうこと。そして、いったんむき出しになった攻撃性はエスカレートしていくということ。

全10話ですが、7500文字ほどなのでさっくり読めます。さっくりだけど、毒はちょっと強め。そしてある意味痛快。

ネットにひそむリアルな闇をリアルにえぐっています。

★★★ Excellent!!!

主人公は小説サイトの辛口コメント企画に参加して、読了した作品をバッサリと批評していく女性ユーザー。

しかし彼女のコメントに対して噛みついてくるユーザーが現れて、激しいストレスを感じてしまいます。そこで彼女は、つい他の古くからの友人とネット上のやり取りで陰口をたたいてしまうのですが……。

SNSをやっている方なら誰しも心に刺さるものがあると思います。
自分が発信したものに対して肯定的な人間、否定的な人間が現れて、承認欲求を満たし、あるいはやり場のない怒りを感じてどうしようもない気持ちにさせられる。

しかし、承認欲求を満たすことにとらわれた先にも、自分を批判した人間に対して攻撃性をむき出しにした先にも幸せな結末はないのかもしれません。

テンポよく展開していくストーリーも読みやすく、最後まで一気に楽しむことができました。
インターネット上の人間トラブルを見事に風刺して見せた良作です。
是非ご一読を。