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ちびまるフォイ
知りたいことはお金で買う
「気になるあの子へアプローチする方法、と」
先日クラスにやってきた転校生は口数の少ないミステリアス女子。
そんな彼女のうちに秘めている悲しい過去や前世の因縁とかを自分だけが知って、
彼女とそれらを解決していくうちにお互いを意識し合うようになりたい。
短かく言えばめっちゃタイプ。
けれど、友達の居ない陰キャオリンピック日本代表の自分としてはいったいどうやってアピールできるのか。
悩んだ結果に検索するのはまさに現代っ子さまさまだ。
「こ、これは!!」
見つけたのはとあるサイト。
アカシックレコードよりも全知全能な検索という魔法の言葉は
悩める思春期男子の心の迷いすらも打ち払ってくれる記事を拾ってきてくれた。
【 気になるあの子をイチコロにする裏技 】
ごくりと喉が鳴る。
記事をスクロールさせていく。
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みなさんは一目惚れしたことがありますか。
一度恋に落ちると友達でもない自分をどう好きになってもらえるのか悩みますよね。
そこでナンパ師として国家勲章をいただいた私がとっておきの方法をお教えします。
といっても変な壺を売りつけるものではありません(笑)
なにも買わなくていいのです。大事なのは接し方ですから。
では、どうすれば好きになってもらえるのか。
それは簡単です。
まずは右手をパーにして
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「んなぁぁあ!!!!」
あまりのもどかしさに頭を打ち付けた。
恋多き男子に答えという手を差し伸ばしておきながら、
空いた片方の手で財布に手を伸ばす卑劣さに憤死寸前だった。
しかしーー。
「手をパーにしたあと……いったいこの手にどんな奇跡が起きるんだ!」
ナンパ師というだけあって信憑性はありそうだ。
手の使い方一つで彼女の樹を引けるというのならこれほどコスパがいいことはない。
「やるしか……ないのか……!」
悪魔と契約するレベルの決断で俺は有料会員となるためにボタンを押した。
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【 登録 】
「こ、ここでも有料会員!?」
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入力フォームのすべてを見るために有料会員にならなければならない。
無視して登録ボタンを押すと「未入力項目があります(笑)」と煽られる。
「くそ!! 有料会員になればいいんだろ!!」
今度は別のページで有料会員登録を済ませようとする。
しかし、移動先のページでは丸いわっかがくるくると回るばかりで動かない。
壊れたのかと思って隣のオヤジの頭を叩いてみたところ、
這い寄るように上から広告がスーッと降りてきた。
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【 アクセスが集中してページの読み込みが遅くなっています^^
有料会員ならそんなことないんですけどね。有料会員なら。 】
→ 会員登録 ←
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「もういいかげんにしてくれ!!」
有料会員とページのたらい回しでもう限界だった。
この先を進んだとしてもボロボロと会員登録費だけがむしり取られて、
最後にはガリガリに細くなった自分が路上で会員維持費をせがむホームレス生活が予想できた。
その状態になってしまったらもはや振り向いてくれるどころじゃないだろう。
仮に超モテテクニックを得た所で見向きもしてくれない。
「俺だけの力でなんとかしてやる!!」
ドラえもんが安心して未来に帰られるように、
俺はけして有料会員にならずに彼女にアタックすることを決めた。
放課後に体育館裏に呼んだ彼女はいつものように無口で立っていた。
「ごめんね、急にこんなところ呼び出して。実は言いたいことがあるんだ」
「……」
「実は……俺は君のことが好きだ!! 付き合ってほしい!」
彼女の反応は予想外だった。
顔を赤らめてそっぽを向いた。
たとえどんな相手からだとしても告白されれば誰だって嬉しい。
ナンパ師の力なんか借りなくても大事なのは自分の気持ちを伝えることが一番なんだ。
誰かの力を借りて得たものなんて、けして自分の身にならない。
「それで、答えは!?」
彼女はにこりと微笑んだ。
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