回らない寿司と回る寿司との狭間で

えろっちのゲーム工房

第1話 回らない寿司と回る寿司との狭間で (1話完結もの)

ある日のこと、小学校で仲良しだった同級生3人が久しぶりに会うことになった。


A君「おお、B君お久しぶり! C君はまだ来てないのかな?」

B君「そのようだね。どう? 最近」

A君「いや、それがね・・・ここのところ育児で大変だ。夜中もほぼずっと起きている」

B君「ほー、そりゃ大変だ」

A君「君んところは最近どう?」

B君「うちらは気楽にしてるよ・・・本当に本当。最近は、妻とは2人でよく映画館に行くんだ」

A君「・・・おお」


そこにC君が合流する。


C君「お待たせー!」

A君「おお、C君。元気だったか?」

B君「C君、待ってたよ」

C君「おお、最近どうよ?」

A君「それが、さいきん全然睡眠がとれなくて」

C君「おいおい、どういう生活をしてるんだよ、このリア充! だれか可愛い子紹介してよ?」

A君「あ、いや・・・」

B君「あ! そうだ。それよりも車の話をしよう。今度、2台目買うんだけど、どんなのが良いかな?」

C君「車かー。うちは交通の便がいいから、車は買ってないんだ」

A君「C君はいま彼女募集中なんだよね? そうでなくても車は買っておけよ、必需品だ」

C君「いや、うちは本当に・・・交通の便が・・・いいんだ」

B君「まあまあ、それよりも近くに評判の寿司屋があるんだけど、まだ行ったことないんだ。行こうぜ?」

A君「そうだな」

C君「うん、賛成。寿司をレーンから取るのは得意なんだ、任せろ!」


寿司屋の前まで来ると、C君が入り口で立ち止まった。それは明らかに、回らない寿司店であった。


C君「ごめん。この店には入れない」

B君「いや、そういうと思った。だから、今日は俺のおごりだ」

C君「それはだめだ。対等な友人であり続けたいから・・・」

B君「そうか。そうだな、変なことを言って悪かった」


A君のスマホに着信が入る。A君の母からだった。いつになったら帰ってくるんだ、というメールだった。


A君「ごめん、急ぎじゃないんだけど、子どもが気になるから先に帰る。また会おう」

B君「子ども・・・か。あ、いや了解! では、また会おう。それと、その様子だと奥さんも幸せだろう」

A君「まだ再婚は当分考えられなくて。それでは、また会おう」

C君「ああ、そうだね、また会おう」


3人は寿司屋の前で別れの挨拶をした。

3人はいつしか、お互いに違う世界の語彙を使うようになっており、それはあたかも別言語であった。

3人は、世界のどこかにあるバベルの塔を壊したくて、それぞれ家に帰って泣こうと思った。







ガラガラガラ・・・

寿司屋の入り口が開いた。


神様「なんか食べていくがよい」

A君・B君・C君「は?」


寿司屋は神様が経営していた。


神様「この店には、一つのルールがあるんだ。それはね、店内では絶対にしゃべっちゃダメってこと」

A君・B君・C君「(了解です、分かりました)」

神様「それと、店の中での出来事は、ぜったいに外でしゃべっちゃダメ。いいね?」

神様「オーケー! 3名様ご来店!」

回転台の上で、美しい裸の女性たちが仰向けになっている。その女性たちに回らない寿司が盛られていた。

神様「寿司に回るも回らないも御座いません。寿司は常に皆様のモノ。どうか器ごとお召し上がりください」

3人は聖餐を摂ることにした。精神が昂ぶり勃起する。そして思い思いに精神を器に挿入し、そして精神液を注ぎ込んだ。

神様「お愉しみいただけましたか? 人間の言葉は通じなくても、獣の精神は共通です。人間の言葉は卑近ですが、獣の精神は立派なのです」

3人は、すっきりとした凛々しい表情で、またいつか絶対に会おうと誓い合った。

(しかし、この神様、本当に神様なんだろうか? 3人とも疑問に思ったが、しゃべっちゃダメだと思った)


=完=

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回らない寿司と回る寿司との狭間で えろっちのゲーム工房 @erocchi_games

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