非現実に触れたって、世界は何ひとつ変わらない。
- ★★★ Excellent!!!
短編集「科学喫茶」シリーズを締めくくる長編小説です。短編集から先にご覧いただいて、次にこちらを読むのが、一番味わい深く楽しめると思います。
店主の猫目緋子と、常連の小学生・七ツ森夏乃佳。それから、それを取り巻く魅力的な人々。科学を信奉する女と霊能をもつ少女、「違う世界」「違う日常」を見ている彼女たちの足取りが重なって、「当たり前」が揺らいでいく。否定してきたものに直に関わらざるを得なくなったとき、見極めねばならなくなったとき、緋子は。
非現実に触れたって、世界は何ひとつ変わらない。
滲むような夏の色。陽炎の向こう側。
本物と偽物、現世と幽世、すべて、よしなしごと。