第4話 ハラスメント

この時代の娯楽といえばゲーム機であるPS7。VR世界を体現したスグレモノで

ヘッドギアと手袋をはめるだけで多くの体験をすることができる。

そのゲームを桜上ゆいは教室でプレイしていた。

昼休みの教室でゆいは叫ぶ。


「私は世界の暴走族~ぅ。どんなものでも薙ぎ払う~うっう~」


実に独り言をいいながら動き回る様は滑稽である。

だがそんなことを気にしないのが彼女、実に面倒。


「ちょっとあんた、なんてとこでゲームしてるの!」


亜沙子が注意をいれるが聞き入れようとしない。

いや、聞こえているかもしれないが彼女からすれば聞こえていないも同じ。

自分の世界にダイヴインなう。


「そうだよ、ゲームはよくないんだぞ!」


ここで未樹登場。直様、ゆいのヘッドギアを取り上げる。


「なあにすんだよお、いいところにさ」


「ゲームはよくないんだよ! 脳がおかしくなっちゃうんだよ!」


実際に科学者がゲームをしている人の脳波を図った時に、大脳の一部がアレやらコレやらしてしまったというのは事実(割愛)。


「いいんだよ!今が楽しければ!」


「いいわけ無いでしょ! クラスメイト達も迷惑してるよ」


と亜沙子が加勢する。さらに無言と目で訴えかけているクラスメイト達。君たちはもう少し露骨に態度に出すべきだ。


「わかった!この面白さをお前らにも分からせればいいんだ」


ゆいは未樹にヘッドギアを被せる。


「やーめーろー私はゲームはしないんだあ」


「まあいいからやってみ、ほれぽちっとな」


スイッチをいれてゲームが始まる。


「やめで、目がいだくなるって、バカになっちゃうんだって」


ヘッドギアごしからでもわかる頬に伝う涙。


「ええ・・・マジかよ」


ゆい、ひよって慌てる。


「ごわいよお、なんでバイクのっでんのおおおおお」


「そりゃバイク乗ってノリにノっちゃうゲームだから……」


マジレスしている場合ではない。未樹の顔色が青ざめていってる。

そもそも泣いている時点で外してやるべきなんだが。


「未樹ィ! 今とるよォ!」


亜沙子がゆいに割って入り、未樹からヘッドギアをとる。


「ごわがっだよ……」


未樹、号泣、怒号のように喚く。

その様子にクラスメイトの目がゆいに刺さる。ぐさぐさぐさぐさと刺さっていく。


「わ、悪かったって……」


この空気にさすがにゆいも頭を下げる。


「ぐずっ……電子ハラスメント……」


一言未樹が呟いた言葉からクラス内で流行るのはまた別のお話。


「ハ、ハラスメント? 性的じゃないのに?」


頭があまりよろしくないゆいでもハラスメントの意味は知っていたようだ。


「今の時代なんでも嫌がればハラスメントだからね」


亜沙子はサラッという。


「電子ハラスメント、あだまわるぐなっぢちゃう」


小一時間泣き止まない、未樹だった。

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