2030年の少女
新浜 星路
第1話 スマホ否定少女
朝の教室。夜更かし多き女子高生らにとって、鬱屈な授業直前のオアシスタイム。
そこに、不安語りを始める女子高生、未樹とそれに付き合う友人亜沙子。
「私は不安なの、こんなことしてて、みんな将来のこと考えてないのかなって。そう思わない? 亜沙子」
「ちょっと未樹ねー。えーだってさ、先のことなんて考えたってわかるわけないじゃん」
「わからないけど、わからないからってそのまま何もしなかったら、悪いままじゃん。スマホだって悪魔の力のようなものよ」
「え、未樹ってスマホもってないの?」
「当たり前じゃない。だってスマホなんて、ドライアイになって視力おちるし、みんなスマホ持ってる人ってまるで恋人のようにずっとべったりしてるし。機械に依存したら自分で何もできない大人になっちゃう」
「未樹って変わってるよね、現代的じゃないっていうか。でも確かに未樹は、料理も裁縫もできて家庭的だよね。また、機会あったらクリームシチュー作ってね」
「それはいいけど、亜沙美は、自分で作れたほうがいいんだよ?」
亜沙美はスマホに夢中でタプタプとスマホ音を鳴らしながら話す。
「私はいいかなー。それよりはアプリやってたいもん」
「そっか」
スマホは別に人間にとって必ず必要なわけじゃない。恋人でもなければ、生命維持装置でもない。ただの便利な機械。機械なんだよ!
私は世界の中心で便利な機械なんだよ!と叫びたい。などと思っている未樹は衝突が絶えないのである。
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