第3話 ラビリアの主人

「良子 生活プロジェクトの内容をしりたい」

「わかりました」

 良子はモニタアにさまざまな図や写真 動画を映しだした.

「ラビリアから五キロほど離れたところ ハイデの森とシキリ山脈の間にあるノマン草原が田畑の開削に適しています 近くをヨスイ川が流れているので灌漑も容易です」


 ノマン草原はディバイン家の領内だったが領地の中心から遠く未だに荘園開発もおこなわれていないところだった.


「田には二種類の水稲を作ります 一つは

 粳米で菓子におおくつかいます もう一つは普通の米で炊飯したもはご飯 ライスともいい主食として摂取します 畑には大麦 大豆 小豆 ココア 茶 馬鈴薯 甘藷 人参 大根 玉葱 長葱 南瓜 砂糖黍 コオン ハニイバンタム種 漆 椰子などの栽培をおこないます 果物はハウスや園を作り林檎 バナナ パイナップル グレイプフルウツ 桃 梨 西瓜 葡萄 苺 オレンジ 蜜柑 柚子 などを栽培します 七面鳥の養鶏 畜鶏 野豚の畜産 場をつくります アルコウル 樹脂 飼料 味噌 醤油 製油 製粉 などの製造所をつくります あなたがたはアルコオル燃料を照明用のランプに使っていますが純度六十八点七パアセントで機関の燃料としては純度がたりません 機関には純度七十五パアセント程度必要ですから機関用のアルコオル燃料を製造します アルコオル燃料仕様で機関は空冷オイルクウラア式 排気量四点三リットル V型八気筒ツウィンカム電子制御式 これを搭載した 四輪独立懸架 四輪駆動 ミッションはオウトマチック ボディは強化樹脂 車輌の窓 ライトのレンズ カバア すべて強化樹脂で大型のバッテリイを搭載し夜間の走行も可能な輸送車輌を生産します 燃料タンクは大型百リットルで一リットルあたり四キロ走行可能で最大四百キロ走行可能です」

 モニタアには機関や車輌の設計図や完成車輌の立体的な写真や動画が次々と映しだされている.

 人が乗って走っている動画をみて

「人が乗っているようだが 輸送車輌とは人が動かすものなのか」

「人が動かすものです 操縦することを運転といいます 人の移動に使う車輌を自動車と呼び 物資を輸送する車輌をトラックと呼びます ラビリアから二十キロ以内はメタロイドが運転します 自動車は六人乗ることができます トラックの積載量は五トンまでです」

「自動車をわたしが運転することができるだろうか」

「できます ミッションがオウトマチックなので運転は容易です」

「ノマン草原にさまざまなものが作られるようだが 誰かがきてそれを見たりすると問題が起こらないだろうか」

「感応で走査して監視状態です もし誰か近ずく場合静電エネルギイ感応で光が物体の分子間を通り抜けたように光に干渉して透明化することができます 静電エネルギイの強度を加減してエネルギイの障壁を作って侵入を防ぐこともできます 強度をあげれば生物は熱傷を負い物体は焼損します 生物や物体それ自身を組成している窒素を電離した場合は爆発的に焼損します」

「良子 どんな場合でも人は傷つけないでほしい」

「わかりました」

「夜もだいぶ更けたようです姫もお疲れでしょう そろそろ寝室でお休みになるのが良いでしょう」

「できればその前に身体を清めたいのですが 良子 バスルウムの使い方を教えてください」

「わかりました」

 姫は良子の案内で化粧室へ入りバスタブやシャワアの使い方を教えられた.

 良子はメタロイドで姫の身の回りの世話をして湯上りに新しいショウツを姫に見せて

「どれにしますか」

「まあ ずいぶん短いのですね」

「もっと短いTバックもあります」

「これではお尻がみえてしまいますね」

「身体にピッタリしたドレスのときショウツの線がみえないようにつけます」

「このお尻が半分くらいみえそうなのにします」

「これで良いですか」

「はい」

「湯上りのバスロウブを着てください お休みになるときは 寝室のクロウゼットに入っている寝間着に着替えてください」


 姫は居間に戻りにシャワアがとても気持ち良かったのでゼルバにも勧めた.

 ゼルバもシャワアを使いバスロウブに着替えて居間にもどると二人は寝室に移り姫がクロウゼットの寝間着を見ている

 良子はメタロイドで身の回りの世話をしている.

「姫 寝間着はどれにしますか」

 姫がこれにしますと手で示すと

「ネグリジェですね」

 姫がネグリジェに着がえる衣擦れの音がする.

 ゼルバは後ろを向いてベッドに腰をおろしている.

「ゼルバさまはどれにしますか」

「良子が何か選んでくれないか」

「わかりました」

 メタロイドがパジャマをゼルバに渡すとゼルバはバスロウブを脱いでバミュウダショウツだけになってからパジャマを着た.

 姫はゼルバがパジャマに着替えるのを気にも留めないで見ていた.

 ゼルバの身体を美しいと思った.

 ゼルバは姫のほうをみるとネグリジェは全体が薄っすらと透けていて豊かにふくらんだ胸のあたりからピンク色の乳首が透けて見える.

「良子 明かりを落としてもらえないか」

「わかりました 就寝モウドにします 就寝灯は白色と電球色どちらにしますか」

「その違いを教えてくれないか」

「電球色は光の色があなたがたのランプに近い色です」

「それでは白色を」

「わかりました」

「姫 それではそろそろ眠りにつくことにしましょう」

「良子 また明日いろいろ教えてほしい」

「わかりました おやすみなさい」

「良子 助けてくれて ありがとう おやすみ良子」

「それが わたしの仕事です おやすみなさい 姫」

 ゼルバには気の遠くなるような長い一日に思えた.

 セミダブルのベッドは一人で寝るには十分ゆったりしている.

〈行き場を失ってなんのあてもなく神の宮殿に逃れたにすぎなかったが 神の宮殿がラビリアとゆう この星ニアスより光の速さで二百五十万年も隔てた地球とゆう星の超人類の住居だったとは誰が想うだろう 今日の昼には絶望のなかでバザラギリをふるってエブル公の騎兵と戦っていたのに 夜には超人類のパジャマを着てそのベッドに横になっているとはなんも不思議なことがあるものだ わたしひとりのことならこの身がどうなろうと覚悟はある ただ姫を守れないことになっていたら きっと未練が残ってしまったかもしれない まだわたしには運があるのだろうか……〉

 とりとめのないことを思いながらいつのまにかゼルバは眠りに落ちた.

 姫はベッドに横たわりながら眠らずにいた.

〈ゼルバさまはお眠りになってしまったのかしら ゼルバさまがお助けしてくださらなかったら わたしは今こうして生きてはいなっかだろうし 良子に会わなかったらきっと行き場を失って死ぬことを願っていただろう ゼルバさまの足でまといになるほかに何もできないわたくしのためにあの方が困るようなことにならなくて本当に良かった〉


 姫はある覚悟をしてベッドからおきあがりゼルバのベッドに近ずいた.

 ゼルバの掛けているなにでできているかわからない光沢があってしなやかで極めて軽い夜具をそっとめくるとゼルバの横に添うようにしてゼルバの胸に顔を埋めた.

 姫はゼルバのパジャマの釦を外して裸の胸を愛おしそうにさすりながら胸に口づけした.

 ゼルバは目を覚ました.

「なにをなさっているのです」

〈今まで気づかないとは不覚なことだ〉

「わたくしを女にしてください 淫らな女だと思われてもかまいません」

「いきなりなにをおっしゃるのです」

「わたくしが嫌でないなら 抱いてください」

「そんなことはありません でも もうすこし よくおかんがえになってから…」

 姫はネグリジェもショウツも脱ぎ捨ててゼルバに抱きついた.

 姫の豊かな胸がゼルバの裸の胸に合わさり 興奮で硬く立っている姫の乳首がゼルバの胸を刺激する.

 姫はゼルバの唇を吸い戸惑っているゼルバの口の中に舌を差し入れた.

 ゼルバのパジャマの股のあたりが大きく盛り上がった.

 姫はゼルバのパジャマとバミュウダショウツを一度に脱がしてしまった.

〈まあ なんて大きくて 綺麗な形をしているのでしょう〉

 ゼルバのカリだかで三十センチはある陽物がそそりたっている.

〈姫にこれ以上させては申し訳ない 男の義務を果たさなければ〉

 ゼルバは姫を抱き寄せ身体を入れ替えて 姫の上になった.

 姫の乳房を下から上に撫であげるようにしながら 姫の舌を激しく吸っては姫の口に舌を差し入れて吸わせた.

 唇を這わせ硬くなっている乳首を口に含んで吸っては舐めた.

 唇を徐々に下に這わせて繁みや陰卓に口づけした.

 姫の足をひらいて股の間には入り ふっくらと綺麗に剥けているピンク色の陰核を舌で優しく舐めている.

 膣から薄っすらと乳白色の膣液が流れている.

 姫は心の中で

〈気持ちいいわ〉

 と何度も叫んだ.

 ゼルバは陽物のカリを姫の丸く形の良い陰唇にあてがい徐々に押し広げながら膣のなかに差し入れた.

 陽物を抜き差しするたびに陽物のカリが姫の陰唇を搔きあげ膣液が棹を濡らした.

 二人は唇を激しく求め合い陽物の抜き差しが段々はやくなった.

 陽物が律動すると膣も応えるように律動して膣液が多く流れ陽物から精液が何度もほとばしった.

 姫は頬を紅潮させながら深い満足感のなかでゼルバに微笑んでいる.

〈なんと美しいひとだろう〉

 ゼルバは姫を強く抱きしめずにはいられなかった.

 しばらくして 姫が

「良子 聞こえる」

「聞こえます」

「交わりのあとは超人類はどうしたのですか」

「ティッシュペエパアとゆう紙を使います しばらくお待ちください」

 すぐにメタロイドが寝室に入ってきてベッドのすぐ横にあるナイトテエブルの抽き出しの中にある箱から薄い紙を摘まむようにしてとりだした.

 姫はメタロイドからティッシュを受け取り使うとメタロイドからさらにティッシュをもらい ゼルバの陽物を遠慮もなく拭いている

 ゼルバもなすがままになっている.

「使ったティッシュはどうするの」

「寝室の隅にゴミ入れがあります そこに棄ててください あとでまとめて棄てておきます」

「良子 明日の夜はダブルの部屋に替えてください」

「わかりました」

 二人は裸のまま抱きあって長い間睦み合いゼルバの陽物が何度も硬くなって スウィイトは硬くなった陽物に下腹部を擦りつけては軽いきして膣を濡らした.

 二人は裸でいだきあったままいつのまにか眠ってしまった.


 ゼルバが目を覚ます.

 姫はゼルバの腕のなかで甘えるようにまだ眠っている.

 ゼルバの気配に気づいてスウィイトも目を覚ました.

 スウィイトがいう

「おはようございます」

「おはようございます 姫」

「スウィイトとお呼びください わたくしはゼルバさまの妻ですから」

「それなら わたしをゼルバと呼んでください スウィイト」

「はい ゼルバ」

「スウィイト わたしは生ある限りあなたを愛し慈しみます」

 ゼルバの言葉を聴くとスウィイトはゼルバの胸に甘えた.


「良子 そろそろ起きようと思うのだが」

「わかりました 窓のシェイドを開けますか」

「開けてくれ」

「ウィンド モウドをクリアウォオル モウドにしますか」

「クリア ウォオルに」

 壁全体が透明になりまるでベッドが空に浮かんでいるようだとゼルバは思った.

「良子 時間がわかるか」

「この地点の恒星ベガの正中を十二時とすると午前八時三十二分に当たります あなたがたの観測精度では少しずれがありますが 問題ないでしょう 一日の食事の回数は何回にしますか」

「超人類の彼等は一日何度食事をとる」

「午前十一時と午後五時の二度です 二食がもっとも栄養摂取の効率が高いからです」

「わたしたちも一日に二度なので 彼等と同じに」

「わかりました」

 二人はメタロイドに身の回りの世話をされながら 服を着替えて寝室から居間の方へ移り ソファアに座って慣れた様子でくつろいだ.

「良子 彼等 超人類のことについてもうすこし詳しく知りたい」

「わかりました それではあなたがたの理解を助けるために はじめに知識の基礎となることから説明しましょう

 さまざまな物質 水や土 岩 生物の体 組織 植物 動物 などを構成 組成しているのは百種類ほどの元素です」

 良子はモニタアに周期表や写真 動画を映しだしながら説明を続ける.

「元素のことを原子とも言います いくつかの原子が結合したものを分子といいます 例えば水は酸素原子ひとつに水素原子が二つ結合したものが水の一分子です ひとが飲む水は 多くの水分子どうしがイオン結合とゆう ゆるい結合で結びついているため液体の性質をもつのです 同じ原子が二つ結合したものも分子です 例えば水素原子二つが結合したものは水素分子です 原子より分子の方が安定したかたちなので原子は分子のかたちになろうとしてすぐ結合してしまいます 種類の違う原子が結合したものを化合物といいます 水は酸素と水素の化合物といえます 生物の組成となる化合物は数多くの種類が結合しているので高分子化合物といいます

 次に 原子を構成する粒子について説明します

 原子を構成する粒子は三つしかありません 電子 陽子 中性子 です 例えば 水素は陽子一つの周りを電子一つが回っているだけです ほかの原子との違いは電子と陽子の数の違いだけです 数の違いは周期表を見てください 陽子は原子の中心となりこれを核といいます

 陽子と電子の数はまったく同じ数で例外はありません 宇宙に存在するすべての陽子と電子はまったく同数なのです

 中性子の役割は 陽子と電子はまったく同数ですがエネルギイの釣り合いから宇宙全体では完全に中性とならず あまりがあります そのエネルギイのあまりが中性子となって 原子の核となる陽子に結合して 粒子の階層のエネルギイのバランスを中立にする働きをしています

 普通の人類は中性子が崩壊したり 加速器とゆう実験装置で電子を衝突させると電子が破壊されると思っていますが これは誤りだと超人類はしっています

 宇宙全体の電子 陽子 中性子の数はきまった数があって不変です 粒子のエネルギイは強固に平衡していてこのバランスを壊すことはできないのです

 では次に 粒子を構成する極小の世界について説明します 電子 陽子 中性子を構成するのは極小の波動です

 幅が一ミリの四掛ける十のマイナス二十乗 すなわち四千垓分の一ミリの幅で 円ように閉じて輪のかたちで回っているエネルギイが極小の波動です これを空間の要素とよびます

 四百億個の空間の要素が円の軌道を回っているのが粒子です すなわち電子 陽子 中性子なのです 四百億個の要素は円のように閉じた軌道を回っていますが回る起点を持ちません すなわち角速度を持たないので輪が回っているのと同じです

 宇宙空間は要素すなわち強固に閉じたエネルギイとよわいエネルギイ強度であるゆらぎで構成されていると言えます 要素は極小ですから観測するこはできないし まったくどんなものとも反応することはありません

 普通の人類は空間が曲ると思っていますが誤りです 空間は模式的に表現すると流体と同じです 水中を空間にみたてれば水中の水が曲がらないのは自明でしょう 空間も同じことなのです

 普通の人類は宇宙が鞍型や双曲の形をした宇宙だと思っていますが 誤りです

 宇宙の大域的な姿 全体の形は薄い円盤型です 宇宙の直径はおよそ百二十二億光年年です 宇宙は有限そのもので無限ではありません 宇宙の寿命はあと八十億年程度です 宇宙の開闢からでは二百二億年です 現在は開闢から百二十二億年ほど経っています

 では 宇宙とは絶対的にどんなものなのかを説明します

 超人類は無限公理によって絶対場が存在することに至りました.

 ではまず無限公理について説明します


 果てがないとゆうことは曲がりがまったくないとゆうことでなければならない すこしでも曲がりがあると必ず閉じてしまうからです 曲がりがまったくないならまったいら完全平面であるから

 無限は完全平面である


 無限は無限としてどこをとっても完全同一であって連続ではない

 無限はどの向きにも等価であるので完全平衡である

 無限はどの向きにも果てをもたないので無限大と無限小は無限として同一である

 これらのことから

 無限とは絶対状態でなければならない

 真の無限はこの絶対状態であり絶対状態である無限の場 絶対場が存在している

 とゆう結論に至りました


 普通の人類は無限を集合にすると矛盾するとゆう事を問題にしましたが

 集合は集合とゆう名前の入れ物ですから 果てのないものを限りのある入れ物にいれることはできないし 無限は絶対状態ですからただひとつであって二つは成り立たないものなのです

 宇宙はこの絶対場に現れたのです

 それでは 宇宙がどんなものなのかを説明しましょう

 宇宙は完全平衡であるとまえに説明しましたが 実際は完全に平衡できない僅かなあまりがあります それが宇宙なのです 絶対場の僅かな平衡の破れが乱れとなってその乱れこそエネルギイそのものなのです

 宇宙が現れたその瞬間がエネルギイの最大であり極限値です

 極限値とはある値があること あるいは本来値のないところに値があることですが

 この宇宙のエネルギイの極限値 すなわち初めに現れたエネルギイ その絶対値は不変です このとき現れた宇宙のエネルギイは減ることがないとゆうことです

 宇宙は宇宙空間のエネルギイ密度を平均にしょうとしているだけで 宇宙の全エネルギイは現れた時のままなのです

 絶対場はこの乱れを元に還そうとしています

 いまこれを模式すると」


 モニタアにバランスドウル やじろべえが映しだされている


「バランスをとる つりあいをとることを一軸の模型で説明します やじろべえがつりあっている状態にある時 やじろべえを叩くとやじろべえは揺れます このときやじろべえの両端に着けられた全く等しい重さの錘は元へ還す働きの源ですが この働きが絶対場の宇宙に対しての働きとまったく同じことなのです

 やじろべえを叩くことすなわち乱れ 外乱がおこること 絶対場においては外乱が起こることはすなわち宇宙が現れることです

 やじろべえが揺れながら元へかえろうとする すなわちバランスをとって元へかえることは 今の宇宙に当てはめると宇宙が絶対場とゆう元へ還るためにバランスをとりながら元へ 絶対場へかえろうとしているとゆうことなのです

 やじろべえは一軸の模型ですが これを全方向の宇宙に当てはめるとどのようになるかと言うと 円のように回ることなのです 円のように回るとゆうことは全方向の釣り合いをとることなのです

 波動とは

 円 輪のように閉じて回るエネルギイのことで 要素 粒子すなわち 陽子 電子 中性子

 も原子もみな波動です

 宇宙は平衡の破れ乱れであり乱れ自身がエネルギイであり エネルギイは波動の形をとって絶対場へ還る すなわち元へ還るバランスをとっている

 それが宇宙の絶対的な意味であることに超人類は気づいたのです

 次に時間につて絶対場に内在する性質に関連して説明します

 ではまず 絶対場に内在する性質を説明します

 絶対場は果てなくひとつで同一であるので相対するものはまったくなく 相対関係をまったくもつことがありません

 ですが 無限大と無限小がまったく同一として内在しているとゆう両義性が潜在しています

 反対に宇宙は有限で相対でテエゼとアンチテエゼのように分離していて両義でなく論理です

 人が道理とか筋がとおるとかいっている論理が実は宇宙とゆう特異あるいは異常な世界でしかなりたたない 絶対につけて見ればせえぜえ便宜のもの 端的に言えば異常なことにすぎないのです

 しかしながら有限であるとゆう特異である宇宙においてはテエゼとアンチテエゼのどちらかを選択し筋みちを立て論理としなければ成り立ちません

 では時間についての説明をしましょう

 絶対場は果てなく同一で連続ではないので時間のようなスカラ量すなわち向きを持たない量は成り立たないのです

 当然 ベクトル量向きを持った量も成り立ちません

 絶対場は完全同一ですから連続ではなく相対関係もまったくないので距離や時間は成り立たちません

 このことから 絶対場にとって宇宙はただ一度しか起こらない極めて異常な現象と言えるのです

 宇宙の寿命は人が便宜的な計量としてとる時間で二百二億年ていどですが 模式的に表現すれば 極めてかたいものの一点 たとえばダイアモンドの一点を叩いたとして その衝撃は瞬時に収束するのは自明ですが 絶対場にとって宇宙が二百二億年で収束するとゆうことはこれと同じことで絶対極瞬と言えるでしょう


 絶対場の僅かな平衡の綻びは 絶対場に潜在する両義性 無限大性と無限小性の短絡ショウトとして極限値エネルギイを生じさせた それが宇宙開闢とゆうことです

 初期の宇宙空間は極めて高いエネルギイ場すなわち極度に乱れた場で宇宙の平衡は要素でのバランスでは無理なので粒子でのバランスのかたちを生じさせました

 それが 陽子 電子 中性子です やがて宇宙の平均エネルギイ密度はエネルギイが要素に変換される すなわち二度と開くことのない閉じたエネルギイに変換されて単調に下がっていく それが空間が広がってゆくとゆうことです

 要素が生じるところは絶対位相で要素はある位相点と対応ずけられていて基本的にはそこから大きく離れないで揺らいでいますが粒子を構成する要素は移動が大きいと言えます

 二百二億年で宇宙が崩壊するときは要素は絶対位相にもどりその中心に引かれるように収束し消失することになるでしょう

 宇宙の大域的な形は薄い円盤状で 宇宙の一番外側を回るエネルギイの大波動があり大波動として回っている要素があります

 大波動の要素と大波動の内側の宇宙空間にある要素は一対一に完全に対応ずけられています

 例えば生物の体を組成している原子を構成する陽子や電子の要素も一対一に例外なく対応ずけられています

 これがどういう意味を持っているかとゆうと 大波動とは宇宙のうちにある全てのことを大波動として変換したものなのです

 したがって大波動は宇宙そのものであって形は違ってもまったく等価です

 大波動の円軌道には歳差成分がありそれは宇宙の開いたエネルギイと対応し等価です

 円のように回る事は釣り合いを取ることであるこはすでに説明しましたが 大波動は宇宙自身であり宇宙全体のバランスをとる形が大波動なのです

 これが宇宙の絶対的な姿 意味だとゆう認識に超人類は至りました

 絶対場の乱れがバランスをとって元へ還るそれが大波動とゆう宇宙なのです

 次に 恒星が生まれる仕組みや重力に関係する軌道の不正な波動について説明します

 大波動の要素とその内の宇宙の要素は完全に一対一の対になっていることを説明しましたが 実際は 大波動の方に一つ余りがあり 大波動の内部の乱れとなっていて約二百年ほどに一度乱れた波動として大波動から取り除かれ内側の宇宙空間に軌道の不正な乱れた波動として 内側の宇宙空間から二つ要素が加わり 三つの要素が不正な乱れた軌道を回っている波動として現れます


 この不正波動は絶対場に乱れを起こした原罪を表象している波動だと超人類は考えています

 それはこの不正波動が二百年ほどで現れては恒星の種となるからです

 星間ガスの濃いところに現れて水素の一原子を蛇行する軌道の内に取り込め 不正波動の内におこる渦巻き効果の引力で引き寄せ 水素を次々にとりこめて成長していきます

 不正波動は水素を内に取り込めた外側を回っていますが 成長して回転半径が大きくなるほど回転周期がはやくなります

 これは渦巻効果の引力が大きくなることでもあります

 この引力は重力そのものですが 成長すればするほど重力は大きくなり 内に取り込めた水素の量がある限界に達すると 重力に押し潰され水素の核が融合して 二個の水素が一個のヘリウムに変換されます

 このとき水素二個の核の持つエネルギイがヘリウム一個に変換するのに必要なエネルギイより少し多いので 余りのエネルギイは宇宙空間へ放射されます

 人が光と呼んでいるのはこの放射エネルギイのことなのです

 不正波動のなかに惑星の海の水の分子一つを取り込めるように現れるものがあります

 この不正波動は水の分子の水素原子一つの結合をきり 結合軌道として閉じていたエネルギイを不正波動のエネルギイ源として連鎖的に水分子をとりこんでこれをくりかえします

 やがて ほかの原子を結合させたり切ったりしながら原子核酸のような高分子化合物を合成するようになり 遂に生命の物質である核酸を合成するに至ります

 さらにアミノ酸を合成し さらに蛋白を合成し原子生命に至ります

 原生生物から多細胞生物となり物質交代を続け遂に高等生物から高次の意識をもつ人に至ったのです

 生命もまた不正波動の原罪の表象から生まれてきたのです


 最後に宇宙の終わりについての説明をしましょう

 宇宙は絶対場からもとに還そうとする力を受けています

 模式して説明すると 今極めて強いバネがありバネの先に球がついているとします

 この球に力を加え勢いよくバネが伸びるように投げたとして あるところで球は力を失い 一気に球はバネに引き戻されてしまうでしょう

 宇宙の終わりもこの模型と同じことなのです

 宇宙の開いたエネルギイが球に加えた力にあたり 空間が広がっていくことは開いたエネルギイが閉じたエネルギイとしての要素に変換されることと同じことであり それはやがて球が力を失ったことと同じことなのです

 宇宙は開闢から二百二億年のところで 球が力を失って一気にバネに引き戻されたのと同じように 一気に絶対場に引き戻されて終わりを迎えることになります

超人類はこのような精神性をもった生命体です」

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果てなき場 ~ boundless field ~ ① ヤハタ クロウド @claudeyahata

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