エリカの園～魂を解き放つ扉～

東京都新宿区、神楽坂。
早稲田通りから一本奥に入った路地に、ひっそりと佇む古めかしい一枚の扉。
その扉を見つけられるのは、人生に何となく疲れた時だけ。
扉を開いてくぐったその中は、どこまでも抜けるような青空と草花が生い茂る草原が広がる世界。
世界に踏み入った瞬間、人は肉体から解き放たれて魂だけの存在となり、あるがままの姿に変化して平和な時を過ごすのだ。
その世界に居られるのは、どんな魂であろうときっかり1時間。時間が過ぎれば魂は自然と元の身体に戻っていく。
都会の裏路地に隠れるように存在するその異世界を、訪れた人は口を揃えてこう呼ぶ――「エリカの園」と。