頬を染める
白銀 蓮(しろがね れん)
頬を染める
朝、僕は高鳴る胸を押さえてそっと扉を開ける。
教室の入り口、廊下側の1番前。
そこは、彼女の席。
「おはよう」
微笑んだ彼女に、僕は小さく、おはよう、と返した。
彼女は僕の声が聞こえたのか、またにっこりと微笑んで本の世界へと戻っていく。
僕はなんてことなかったように、自分の席へと急ぐ。
おはよう、なんて、たった一言なのに。
色んな人と交わす言葉の1つなのに。
彼女の唇から零れるその言葉だけは、いつも僕の心を温かく、むず痒くさせる。
「ああ、今日も暑いな」
そう呟いて、長袖のボタンを外した。
頬を染める 白銀 蓮(しろがね れん) @SiRoGaNeReN_
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