やり残したこと
「ふー!何とか勝てた。」
僕は傷だらけの桃太郎の状態で壊れた村を歩いていた。
『全く、ぎりぎりだったな。』
刀を杖代わりに急いで歩く。
『ところで。何処向かっているんだい?』
「簡単さ。ここだよ。」
目の前には先程鬼と戦うまで居た場所。三匹の獣たちの横たわっている場所だ。
三匹ともあのままの状態でいたから最悪の事態を考えていたが、辛うじて息は有るようだ。
「えーっと。確か。」
ガサゴソと腰を探る。
『もしかして。』
「そう言う事。」
三匹の虫の息の獣たちの口に腰に提げた吉備団子を押し込んだ。
弱々しくも口を動かしながら飲み込む三匹。
次の瞬間。虫の息だった三匹は思い思いの方角に走り、登り、飛んでいった。
吉備団子
桃太郎の代表アイテム。その効果は動物に鬼退治を可能とさせる力を与えるもの。つまりは強化薬だ。
『最後にやりたかったのはコレ?』
「そう。彼らに罪は無いからね。」
そう言って刀を杖に彼はその場をあとにした。
異世界御伽ファンタジー 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界御伽ファンタジーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます