物語序盤からその飾らない語り口に惹かれました。彼が死んだ、その事実になんの装飾もつけることなく淡々と書き止められるエピソード。その全てを集合させ、無理やり糸で関連づけること、彼女はそれをしない。知っている、と思っている。理解していない、と思っている。自己と他者をごった煮にすることのなく、それでいて冷たい印象を抱かせない主人公と、「彼」作者様の力量に脱帽です。
純文学スタイルの内容であり文体だった。『理解』なるものに近づこうとする主人公の姿が面白い。
知っていることと理解することは違う。この主題が細やかな描写で綺麗に浮かび上がっていて、考えされられる作品でした。とても好きです。
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