正しく編めない気持ちの糸の行き着く先で

人間の、人としてのどうしようもない部分が、切ないすれ違い、ずれを生む。その点、秀逸に書かれていると感じました。
以下、少々ネタバレかも。
どうしようもなかったのは、たぶん全員なのだろうと思います。問題のある彼、そのままでいられなかった主人公、主人公の気持ちを認める必要のあった人、それぞれが、ある意味では人間らしい、そんな不条理の中にいます。
主人公の願いもまた不条理であり、人間らしいものです。これは“人”が書かれた物語です。
また、トライアングルは物語における人間関係の基本で、それをうまく成せていると思いました。
ずれた関係性の行き着く先まできちんと描かれているのが好印象でした。

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