生きることのすがたかたちはなくとも、ここにある。雪に閉ざされた世界で。

なんだか妙味のある小説を読ませていただいてしまい。
妙味と言うべきか、それが適切なのかはわかりかねますけどもね、例えば甘口です辛口ですと簡単に言い表せるのなら、このレビューは書いていないし、この作品の本質は成立しないわけです。
舞台・環境こそ特殊ですが、文章や物語からきちんと生きているものの匂いみたいなのを感じて、特に劇的なことは起こらずとも、それが読んでいて心地よかったのですよね。
どのみちぼくらの書くことは全部フィクションで、生きるものを完全に書ける日は永遠に来ないのだけれど、ここにはその断片がきっとあったと。