人間のクズが、「試食のどこが悪い」と言うお話。

空のかけら

俺の趣味は、試食だ!

 よく言われるのが、『人間のクズ』とか、『人でなし』とかひどい言葉を投げかけられる。


 なぜ、そんなことを言われるのか、身に覚えはない。

 だから、そういう言葉を言われると、報復として知り合いに言って始末してもらう。

 知り合いと言っても、いつも連んでいる奴で趣味は相手を納得させることと聞いている。

 まぁ、肉体言語と本人は言っているので、穏便な方法ではないだろう。

 ただし、警察の厄介になることはなく、背後に大物が隠れていると、勝手に思っている。


 今日も俺は試食に忙しい。

 飲食店に入って、まずアルコール類とおつまみ程度の物を頼む。

 ビールがキンキンに冷えていない、炭酸が抜けかけている、グラスが冷えていない(霜が降りていない?)場合は、店長を呼び出してクレームを入れる。


「おい、店長。この店はお客に満足なビールも飲ませないのか。こんなものに金など払えない。どう、落とし前を付けてくれるんだ」

「申し訳ありません。すぐに、新しいものと取り替えます」

「払えないと言ってる。ああ、こんなものを出したから気分を害した。慰謝料を払ってもらおうか」


 同行している肉体言語の奴は、身長が2m近い上に筋肉隆々。見た目も怖いので、俺だけでなく2人で店長が逃げられないような位置を取って、こちらの言葉通りの行動を取らせるようにしている。

 慰謝料としてのお金はもらわずに、ほとんどの場合、金券をもらうことにしている。

 やや手間だが、転売が可能で足がつくまで時間がかかるし、金券の番号などでトラブルに合わないからだ。


***

「おい、もう来なくて良いぞ。今日までかかった費用と慰謝料の20万円を払え」

「そ、そんな」

「あ?口答えできる立場か?払えないなら、こいつのお勧めのところで働いて返してもらおうか。ただし、利息を含めて50万円になるがな。さぁ、払え」


相手は、1回寝ただけの女だ。


飲食店に限らず、あらゆる事柄で試食や試飲、1回着て合わなければ返品。

無論、クレームを入れて代金を払わずに、逆に請求している。

女も同様だ。

俺は、いわゆるイケメンと言われるような容姿をしている。

こういう時は奴は側にはいない。

相手が警戒心を持ってしまうためだ。


そして、費用負担と慰謝料請求の際は、2人で威圧して払わさせる。

無論、書類をきっちり作ってからだ。

支払いができなければ、奴がお勧めする風俗店で働いてもらう。

最も、支払いが終わったら後は知らん。

行方不明になったとしても、俺には関係ない。


世の中には、カモがたくさんいる。

次は、どいつを食ってやろうか。


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人間のクズが、「試食のどこが悪い」と言うお話。 空のかけら @s-kakera

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