「『ULTIMATE KNIGHT』訳 究極の戦士」
TNゴン汰
「『ULTIMATE KNIGHT』訳 究極の戦士」
ディーン暦267年、この世界の中心的存在とも言えるディーン城で、ある一代事件が勃発した。
ディーン城の王ディーンは慌てふためいてなにやら落ち着かない様子だった。
辺りをうろうろし、家来達に罵声を浴びせたり、何度もため息を吐いていたりしていた。そしてディーン王は一人呟くのだった。「この危機を救ってくれるのはあの人しかいない。」
その頃、ディーン城城下町では一人の少年、推定15歳くらいと思われる美少年が剣の稽古をしていた。名前はアルティマという。実は彼は偉大な剣の達人『アルティーン』の一人息子なのだった。
その激しい稽古の最中、割ってはいる者が現れた。「アルティーン様、アルティーン様はおいでですか?至急、ディーン王がお目に掛かりたいとのことでございます。」
アルティマは言った。「父は3ヶ月前、病気の為亡くなりましたが…。ところで貴方は一体何者なんですか?ご用件は?」その者はしばらくの間うろたえていたが、急に意を決したかのように真剣な面持ちで話し始めた。
「私はディーン王の信任あつい部下の一人です。実はディーン王の大事な大事な一人娘、つまり王女が何者かに連れ去られていってしまったのです。」
アルティマが「なんだって、あの美しい王女が…。」と驚いたような大きな声を発すると、部下はますます真剣な面持ちでアルティマに言った。
「そうなのです。城の屋上で私とディーン王と王女様、そして王妃4人でかるい宴会を開いていたところ、空から何者かが王女様一人だけを奪い去ったのです。
その王女様を奪い去った者の姿はまるで悪魔のような、今までに見たこともない形をしていました。そして、空を飛ぶ機械で遥かかなたに飛んでいってしまったのです。私たちは抵抗を試みようと思いましたがあまりに早く一瞬のことでなすすべがなかったのです。
ディーン王は苦悩しました。何せ、大事な一人娘ですから…。そして、苦悩の結果、導き出されたのがこの城きっての切れ者、いや、この世界でも5本の指に入るくらいの剣の達人と称されるアルティーンに王女を助け出してもらうことだったのです。
しかし、アルティーン殿が急死していたとは…。ディーン王になんと伝えたら良いか…。」
しばしの沈黙のあと、アルティマは「ならば自分が王女を救いに生きます。私はこれでも亡き父アルティーンの血を引いた一人息子です。剣の腕前は父アルティーンにはさすがに負けますが、それでも父の名に恥じぬよう、これまで必死に剣の腕を磨いてきました。
お役に立てるか分かりませんが、ディーン王の為に王女を救い出したいのです。あのお優しく、美しい王女様が誰とも分からぬ者に何かひどい事などをされているかもしれないかと思うと気が気でいられません。お願いします。ディーン王に会わせてください。」と必死で懇願した。
思案の末、部下は言った。「分かりました。王にお伝えしておきます。」
ディーン王は動揺を隠したような落ち着かない様子でアルティマにむかって言った。「そなたの要求、良く分かった。本当に心から感謝するぞ。でも、そなた、アルティマ一人では心細かろう。
仲間を何人か連れて行くが良い。この城の腕のたつものが集まる道場がある。そこで仲間を選ぶが良い。また、分かっているではあろうがまずはわが娘の居場所を探り出すことが先決だぞ。
娘を奪った得体の知れない敵も要注意だ。ゆめゆめ油断するんじゃないぞ。それからアルティマ達とは別に兵隊達を組織する予定もある。それらの別部隊にも王女を救出させるつもりだ。
別にアルティマを信頼していないわけでは決してない。一応念には念を入れてのことだ。誤解しないで欲しい。そしてなんとしても王女を救い出してくれ。頼むぞ。
それから、最近世界各地で妙な報告が頻繁にある。奇妙な形をした動物やら生物やら悪魔のような怪物、つまりモンスターなどが世界で出没していると言うのだ。そのため、各地の王は警備体制を一層強くしているらしい。
住人にはむやみに外に出ないように注意したり、城の堀を深くしたり、日夜、城の門番を配置し、警戒感を深めている。なかには、モンスターたちを退治しようとする計画を立てている王もいるらしい。
一体この世の中どうなったというのだ。何で、モンスターなどという化け物がたくさん出現してきたのだ。」そう言った後で王は「もしや…あの予言書…。」と呟いた。
アルティマは思わず聞き返した。「予言書?」ディーン王は答えた。「あぁ、そなただから言うのだが我がディーン城の秘密の書庫には古くから言い伝えられている予言書が存在してな。その書物にはこう予言してある。
{将来、モンスターがこの世を埋め尽くし、それを統括する恐怖の大魔王が復活し、全世界を滅ぼすだろう。そして世界は闇に包まれ、光は一寸も灯すことができなくなり、全世界は恐怖の大魔王によって廃墟と化し、モンスター達が君臨する世界に変貌するだろう。}
「その予言書を王は信じていらっしゃるのですか?」
ディーン王は「信じているも何も実際、平和だった世の中から一変して現実にモンスター達が出没し、世界は混乱している。予言書通りにだ。信じたくはないが信じないと言ったら正直嘘になってしまう。それに予言によると恐怖の大魔王が復活すると言う…。」そこまで言って王は頭を抱え込んだ。
そしてしばらくしてから「私はどうしたらいいのか分からない。この予言書のことを全世界に宣言したら世の中はますます混乱するだろう。かといって放っておいたら恐怖の大魔王が復活して世界を滅ぼしてしまう。
あぁ、一体どうしたらいいのだ。王として…。それに娘も気がかりだ。我が娘は大丈夫なのか?まだ生きているのか?」
アルティマは気負いもなく冷静に王に言った。「ディーン王。そんなに気をもむことはありません。我がアルティマ、命を掛けてでも王女を救出してみせます。それに、予言書のこともそんなに心配する必要はありません。
もし仮に恐怖の大魔王やなんかが復活したとしても私が退治してみせます。父アルティーンの名に賭けて…。ご安心を…。ディーン王。
それでは私は早速同士を集め、王女を救出するために旅に出ます。無事任務を遂行したら、一杯やりましょう。あっ、私はまだ未成年でしたね。では、それでは出発します!」それからアルティマ達の長い長い旅が始まった。
省略
旅の途中、恐怖の大魔王が復活し、4人の大魔王直属の部下が存在することが判明した。それぞれの4人の部下の持つあるアイテムを手に入れないと大魔王の所へはいけないことも分かった。
そして、ディーン王の娘、王女も大魔王の城で生きて、捕らわれているとのことだった。これらの情報は大魔王自らが提供した。
ディーン城や世界各地の城の近くの空中の何もない空間に突然姿を現したのだ。(兵士が矢を放っても透き通ったので幻影だと分かったのだが…)
そして、アルティマ達一行も以前と比べたら格段に成長し、死闘の末、4人の部下を倒し、アイテムを入手することに成功する。
ちなみに呪文(魔法)も数多く覚えた。呪文を習得するためには各地の町や城や村や特別な場所でお金を出して『魔法の書』を買ったり、手に入れなければならなかった。お金は主にゴールド(金)だった。
そしてゴールドは何故かモンスター達をやっつけるとその死骸がしばらく経つと自然に金にかわるのだった。
そしてそのモンスターを退治したお金で武器(剣、弓矢、ナイフ類など)防具(鎧、兜、小手、靴、かんざしなど)特殊な機能を持つアクセサリー類(お守り、腕輪、指輪、眼鏡、鍵、宝石など)を手に入れることができた。
また、モンスターを倒すとゴールドになるという話しを聞いて退治しようとする者も多数現れる始末だった。しかし、一般に手強いモンスターはゴールドの質や量が良く、弱いモンスターはゴールドの質も量も大したことがなかった。
だから一般市民はなかなか手が出せなかった。とにかく、アルティマ達一行(パーティー)は苦難の末、恐怖の大魔王の城に到達する。その城にはあちこち仕掛けが施されており、苦労したが、遂に大魔王と対面する。
大魔王 「よくここまでたどり着いたな。敬意を表すぞ。」
アルティマは大きな声で堂々と言った。「やっと大魔王とやらの顔を拝めることができたが、たいしたことないな。どんな化け物の姿かと思ったらほとんど人間そっくりだとわな。拍子抜けしたぜ。さぁ、王女はどこにいる?返してもらおうか!」
「ふん。貴様らごときにわしの手を煩わすこともない。さぁ、わしの忠実なるしもべ達よ。あのもの達を殺すがよい!」そう大魔王が叫ぶと3匹の巨大な魔物達が現れた。
アルティマ達は必死で戦った。そして死闘の末、魔物達を倒すことができた。「まさか、我がしもべたちを倒すことができるものがこの世に存在したとは…。それでは仕方がない。我が大魔王がお相手するとしよう。」
そう大魔王が言うと今度は大地がうねりを上げるような大声をあげて世にも恐ろしい怪物へと変身した。その姿形は大魔王の名にふさわしく、アルティマ達にとってはこれまで見たこともないような化け物だった。
アルティマは身震いした。そしてアルティマ達は死に物狂いで戦ったがこれまでのようにうまくいかなかった。苦戦の連続だった。ほとんど仲間達は瀕死の状態だった。
「さぁ、これでとどめだ。随分楽しませてもらった。感謝するぞ。」そう大魔王が言った直後「うう、苦しい。どうしたことだ。身体が燃えるようだ。」そう言い残して大魔王は絶命してしまった。
アルティマは重症を負いながら大魔王の突然の死にひどく驚いて言った。「どういう事だ。何が起きたんだ。」
アルティマ達が困惑していると、その時一匹のモンスターが「けけけっ、王女はこの城のもっと奥の部屋に監禁されている。誤解するなよ。おいらは良いモンスターだからおまえ達に教えてやったんだ。
それから近くに回復の泉がある。そこで体力を回復することをお薦めするぞ。けけけっ。」そう言い残してそのモンスターは足早に去った。
アルティマ達は瀕死の状態だったので何の疑問も抱かずに、というより思考力さえなかったので、そのモンスターのいうままに回復の泉とやらを見つけ全員がその水を口に含んだ。
すると体力が本当に回復した。アルティマは思った。「この分だと、王女の居場所も確かかもしれない。」そしてアルティマ達一行は元気を取り戻したので気分よく希望に満ち溢れながら、王女を見つけるために奥の部屋のほうへ歩いていった。
そこは薄暗かった。アルティマは呪文を唱え部屋中を明るくした。
すると一人の王女らしき女性がうつぶせに倒れていた。アルティマは叫んだ。
「王女-!」仲間達も同じ言葉を次々に叫ぶ。そして近寄ってみると王女と思った女性は別人だった。
「誰だ。この女性は?」皆、疑問に思った。しばらくすると別の部屋から一人の男が現れた。
その男は言った。「その女性はこの壮大な遊び(ゲーム)の主唱者であり、同時に黒幕です。そして私はこのゲームにうんざりしていたので自らの手でこの黒幕の女性を殺したのです。まさか身内から裏切り者が現れ自分が殺されるとは夢にも思ってもいなかったでしょうな。」
アルティマは訳が分からないというような素振りで言った。「どういうことです?ゲームとは一体なんですか?」
謎の男は言った。「つまりこういうことです。私達の惑星ガルーンは非常に高度な文明を築いていましたが惑星自身の寿命の為崩壊の危機に瀕していました。それでその事情を唯一知る科学者である我々7人だけが宇宙船で惑星ガルーンを脱出したのです。
その後惑星ガルーンは大爆発を起こし、消滅しました。我々は何日か宇宙をさまよい続け、ようやくこの星にたどり着いたのです。
その後、しばらくこの星の調査を続け、その結果生命の源である水が存在し、山や森や海のような自然もあり、しかも我々と同じような人間が生息していることを知ったのです。我々は喜びました。これで生きていくことができると…。
そして詳細な調査を続けるとこの星の文明はまだまだあまり発展していないことが分かりました。
その後、何ヶ月か生活した後我々は悲観的になってきました。この星の文明の力では以前のような豊かな生活ができないと…。私の目から見れば十分だと思いましたが、他の6人は満足していないようでした。
そしてだらだらと生活を続けていきました。恐らく退屈な日々だと6人は感じたことでしょう。私は満足していましたがね。そんなとき、あのリーダー格の女性、つまり黒幕がこう言い出したのです。「ゲームをやらないかと…。」
具体的にはこういうことでした。まず、動物や微生物や様々なものにある特殊な薬品を注入し、命を吹き込んだり、強暴にしたり、化け物に変化させる。つまり、モンスターを人工的に作り出すという事です。
そしてそのモンスター達を世界中に放つ。我々の科学技術力をもってすれば造作もないことでした。また、呪文(魔法)も我々が作り出し、世界に放ちました。加えてモンスター達が死ぬとゴールド(金)に変化するように細工したのも我々です。
あくまで、ゲームなわけです。ゲームの主人公が簡単にやられては面白くないでしょう?主人公達に少し有利にことが進むように仕向けたわけです。
しかし、私だけは最後までその人道に外れるような計画に反対しました。その為、頑丈な部屋に私は一人監禁されることとなったのです。
しかし、私には希望があった。良いモンスターをひそかに一匹作っておいたのです。私に忠実でよく命令を聞き、人に危害を加えないモンスターを…。
将来的にはそのモンスターに鍵を開けてもらい、脱出することを計画していました。しかし、なかなかその機会は訪れなかった。
やはり奴らも科学者だから頭が良かったのでしょう。警戒は本当に厳しかった…。しかし、やっとチャンスが巡ってきました。警戒が甘くなったのです。
そして私はうまく脱出し、あの黒幕、このゲームの主唱者である悪魔のような女を殺したという訳です。」
アルティマは困惑した表情で「何を言っているのかさっぱり分からん。正直頭が混乱している。ところで、大魔王は死んだみたいだが、貴方にはその原因がわかるのか?」
男は言った。「何ですって?大魔王が死んだ…。そうか、だから警備が甘くなったのか。そうだったのか…。ちなみにその大魔王は科学者7人の内の一人が担ったのですが…。
それはともかく恐らく、大魔王の死の原因は化け物に変身する為の化学薬品に異常な副作用でも起こったんでしょう。
まぁ、解剖してみないと分かりませんが…。とにかく、やっと私は自由の身になれた。君達には本当に申し訳ないことをした。他の6人に代わって謝る。悪かった…。すまない…。」
アルティマはまだ、事態が分かっていなかったが気を取り直して言った。「よく分からんが貴方は悪者ではなさそうだ。何で謝られるのか理解できないが、大魔王が死に世界に平和が戻ろうとしていることが素直に嬉しい。
あっ、そうだ。大事なことを思い出した。王女はどこにいるのですか?」その時、さっきの良い、優しいモンスターが現れた。モンスターは透き通った声で言った。「私が王女よ。」アルティマ達一行は一斉に「えっ!」と驚愕の声をあげた。
以上です。未完成作品です。当時、書いたまま放置していました。少しでも楽しんでもらえたら幸いです。
ではこの辺で。
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