第117話 あとがき

後書き



審議終了後 別室にて


司会

先生、長らくの審議、お疲れさまでした。今回の委員会の総評をお願いします。


金田一

そうですね、思ったより各主人公たちのストレスが溜まっていることが確認でき、それを話し合いで是正できて良かったと思っています。


司会

今回の提訴で一番印象的だったのは何ですか?


金田一

すっぽんがまさか月と比べられることを不服に思っているとか、ライオンがわが子を谷につき落とすことに幼児虐待を意識していたとか、とにかく世相を感じましたね。


司会

私もまさか鬼が洗濯やることに対して不満があるなんて発想すらしなかったですね。


金田一

そうですね。やはり当事者から話は聞いてみるもんですよね、この100年間で物の考え方やハイテク化それとなんといっても「少数の意見を尊重する民主化」の変化が大きいですね。


司会

あと、先ほどの幼児虐待や引きこもり、少年犯罪、贈収賄法などの社会現象や法律の変化も大きいですよね。


金田一

はい。ことわざそのものがやはり一般社会の常識や考え方の変化についていけない事が最も大きいと思います。そういう意味ではまさに100年に一回の見直しと言うものは必然だと感じた次第ですね。


司会

私なんかは10年に1回の見直しでもいいような気がするんですが、いかがでしょうか?


金田一

そうですね。科学と考え方の進化と言うものは加速度がつきますので、確かに司会さんのおっしゃるように10年に1回でも追いつかない日がくるかもしれませんね。


司会

次の審議会にはどんな事態が予測されますでしょうか?


金田一

そうですね。おそらく世界は今よりもロボットやAIが整備されてくると思われます。ですから近未来においては、諺そのものの中にロボットたちが登場するようになってくると思います。


司会

あ、それは面白いですね。どんな風に具体的に変わりますかね?

予想できますか?


金田一

例えば

「ロボットの耳に念仏」

「電源を切られたロボットのよう」

「能あるロボットはプログラムを隠す」

などかな?


司会

なんだかわくわくしますね。しかしロボットが提訴しに来たら審査する私たち人間も大変でしょうね。


金田一

あ、それは大丈夫ですよ。


司会

なぜですか?


金田一

その頃には審査する我々のほうもAIが人間に取って変わると思いますので、おそらく難なく審議は続けられると思います。また疲れを知りませんから1カ月でも審議できますね。


司会

はー、そんなもんですか。なんか味気ない機械的な世界を想像してしまいました。


金田一

これも時代の流れですから仕方がないですね。


司会

わかりました。金田一先生、本当に今回は名審議ありがとうございました。


司会

はい、司会さんもお疲れ様でした。

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ことわざ見直し委員会 胡志明(ホーチミン) @misumaru

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