5/25 20:06
すべて終わった——と連絡が来た。
馬鹿な人。と私は思う。
三日後には私の口座にいくらかが放り込まれるだろう。
簡単な仕事。
私はどこにいても、孤独な人間で。価値もない。
それは同時に、他人に対しての価値を見いだせないことを示す。
幹人がもう少し頭が切れて、探偵系ではなく本当に探偵になれていたら。私はきっと彼とどこかに逃げられたと思う。好きだ、逃げてほしい、一緒に。お願い、助けて。そう言えたと思う。
でも仕方のないことは多くある。
私は連絡先から幹人のものを削除する。
それから、過去のメールの履歴を——あのメールを開く。
「簡単に儲けられる仕事があります。ぜひあなたに」
迷惑メールの定義を考えながら、真実と虚構をうまく線引きできない自分と世の中を憂いながら、私は、ベッドの上で丸くなった。
もう、朝なんて来なくていいのに。
日の光は迷惑で、滅入る。私を攻めているように思えてしまう。それはまさしく、彼といるときみたいに。
迷惑メール 枕木きのこ @orange344
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