耽美なる白亜の檻と収斂する物語

感情と理論、その融合。

端然と進行する物語は、純白と幾らかの色彩を交ぜながらも溶かし込まずに同居させる、作者の素晴らしい執筆技術を垣間見せる。

性的描写が無いにも関わらず、読み手の胸に痴情を想起させる。肌身に染み込む感覚は、纏わり付いて離れない。

囚われた主人公の感性を写し取り、私達の心に住まわせる作者。巣喰ったその怪物は、終局に私達の心臓を食い破るのだ。

その心地良さに、私は息が漏れた。