人ならざるが故に覚え、持ち合わせるが故に失う。
皆が一つを等しく分け合う事も無く、望まれた燈火が神々しく頬を照らし出す事も無い。才が人を隔て、人に生かし、人と活かすこの場所で、絡み合った糸が大いなる流れを織り上げた。
それが本作、『後天性エクスビート:Reloaded』だ。
作者の神話・伝承への深い理解が柔軟な発想の核となり頁を金色に染め上げる。
繊細で緻密な要素は堅実で瀟洒なる筆致を以て、読む者に潜む焔を燃え上がらせる。
機微を捉え美しく仕上げられた描写、人の隠した昏さを映し出す重厚な展開。作者の確かな技量が文の端々から浮かび上がっては沈んでゆく。
刹那に似た光を視よ。
我々の胸に棲む密かな輝きが、今一度目を醒ます。
静かなる黄金律が進む者を導き、浅きを食む獣を描き出すのだ。
血と肉と渇望と。
哮り、狂う衝動へ身を投げろ————