静夜思

森屋 つみき

静夜思

 本を閉じ、手元の灯りを消すと月明かりがベッドの上を淡く照らしていた。

 ベランダで小さく瞬く銀木犀が、故郷の雪のように思えて、何かに引かれるように外へ出た。

 月明かりに浮かぶ山の向こうで、妹たちが寝息を立てているのだろう。

 誰に見られているわけでもないのに、僕は俯いて静かに雨を零した。










 牀前看月光

 疑是地上霜

 挙頭望山月

 低頭思故郷

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静夜思 森屋 つみき @petori_morino

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