きみに会うための440円

枕木きのこ

 神様がもしいるのだとしたら、それはひどく醜悪な姿をしていることだろう。


 廃倉庫の中はあまたの人で埋め尽くされていて、僕はその中の一人として姿を隠している。

 みんな同じ顔、形をしている。

 みんな、僕と同じだ。


 神様がもしいるのだとしたら、それはひどく醜悪な姿をしていることだろう。


 君に会いたい。

 その願いをかなえるために、同じ願いを持った並行世界上に存在する440もの僕――湯坂まどかを一か所に集め、その頂点に立てなどと。

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