第6話 滋賀県には少々、文句を言いたい

近江国というのは現代いまでいうところの滋賀県のことだ。


そうそう、滋賀県といえば俺は少々文句を言いたいことがあるんだ。


滋賀県は近頃、やたらと石田三成いしだみつなりとかいう武将をプッシュして、県の宣伝に利用しているんだな。


「配下にするなら石田三成~♪」とかな。


三成って何者だと思ってググってみたら、どうということもない人物だ。


俺よりずっと後の時代の武将なんだが、あいつは単なる無能な社畜じゃねえか。


筆者の冨井が滋賀県の職員と話す機会があったので、俺は冨井の口を借りて言ってやったんだ。


「滋賀県も三成なんてしょぼい武将じゃなく、滋賀県を救った英雄ヒーロー・俵藤太をもっとプッシュすべきじゃないか」


・・ってな。


そうしたらなんとこの県の職員、驚いたことにこう言いやがった。


「たわらのとうた?はて、誰ですかそれ」


滋賀県民というのはそこまで恩知らずなのかね?


お前らの中にももし、滋賀県民が居るのなら耳の穴かっぽじってよく聞けよ。


滋賀県民のお前らが現代いま安穏あんのんとして平和に暮らせるのはこの俺のおかげなんだよ。


俺があのとき、わざわざ近江国に出張でばって、あの大ムカデを退治してやらなかったらどうなっていたと思う?


鬼のかしら一匹ですら、泥酔させなきゃ殺せなかった源頼光みなもとのよりみつや、へっぽこ占い師の安倍晴明あべのせいめいなんぞの手に負える相手じゃないぞ。


ましてや無能な社畜の石田三成ごときじゃ手も足も出んわ。


俺がやってなきゃ今頃の滋賀県では


「ただいまムカデ警報が発令されました。皆様、外出はお控えください」


てな感じでな、お前らガタガタ怯えて暮らさなきゃいけなかったところだぜ。


文句ついでにもうひとつ言わせてもらおう。


滋賀県の三井寺に『弁慶の引きずり鐘』ってのがある。


おいおい、言っておくがな。


あの鐘を三井寺に奉納したのはこの俺だぞ!


なんで弁慶なんぞの名前が付いてるんだよ!


弁慶っていったら、向う脛に扇子せんすぶつけられたくらいで泣きをいれた弱虫だろ?


あの馬鹿、山門と喧嘩した腹いせに俺が奉納した鐘を盗みやがってな、比叡山まで馬鹿力で引きずっていきやがった。


それでその鐘をいたら「居のう、居のう(帰ろう、帰ろう)」と響いたのにビックリして、乱暴にも谷底に投げ捨てやがったんだ。


おかげで鐘は傷だらけだよ。


俺が存命中だったら弁慶なんぞは叩き斬ってやったところだ。


だからお前らはこれからは三井寺の鐘のことを間違っても弁慶の名で呼ぶんじゃないぞ。


あれは『俵藤太の鐘』と正しく呼ぶんだ。


特に滋賀県民のお前らは是非とも、県や寺に抗議してやってくれ。


頼むぞ。


あれ、文句が長くなりすぎたかな。


悪かった、物語のつづきは次の回でな。

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