第4話 平安ゾンビ
俺は単純な鬼や魔物とか妖怪変化の類なら、何も恐れるものはない。
どんな化け物でも、たとえエイリアンやプレデターみたいな宇宙からの侵略者が来たって負ける気がしない。
サイヤ人だろうが、フリーザだろうが、どこからでもかかってこいだ。
しかし、そんな俺でも
奴らはもともとが罪もない一般庶民たちだったからだ。
お前らは平安時代といえば、華やかな貴族文化を想像するかもしれないな。
しかしそんなのはごく一部の特権階級のものだ。
京の都でも庶民の暮らしは決して豊かなものではなかった。
さらに都から一歩でも外に出れば、かなり悲惨なものだったんだぜ。
貧しい庶民の主食は
今ならセキセイインコの餌にしかならない、あんなのを食ってたんだ。
おかずは野菜ともいえない雑草みたいな草を塩で茹でたものだ。
栄養事情も悪ければ、衛生面でも最悪だったのが平安時代の庶民の暮らしだ。
平均寿命は30歳程度だ、
疫病というのは、そういう貧しい庶民の暮らす町や村落から発生する。
村はずれにはすでに、うろうろと歩いている
とりあえず目に付く
「保久、もうこれだけ感染が拡大してるんじゃ、俺たちの出る幕じゃないぞ」
「今回は感染拡大のスピードが早すぎますね。なんかおかしいな」
保久の言うのはもっともだ。
通常は
感染源として考えられるのは、食物や水などだ。
「まさか飲み水に
俺がそう言うと保久も頷いた。
しばらくすると、陰陽寮の
奴らが来たということは、この村落はもはや救われないということだ。
奴らは感染が外に漏れないように、完全なる結界を
そして生きている者も、死者も無差別で焼き払うのだ。
たとえ女や子供でも容赦なしにだ。
俺がいかに百戦錬磨の武将とはいえ、見るに堪えない光景なんだ。
「俺は陰陽寮に戻って、状況の詳細を聞いてきます」
保久はそういって現場を立ち去った。
・・・・
その日の夜、保久が俺の家を訪ねてきた。
家に上がるなりこう切り出した。
「藤太さん、やはり今回の
「どういうことだ?」
「実はこれは内密なんですがね、宮中にも
「何、宮中でもか?」
平安京の貴族どもは一般庶民と違って、陰陽寮が防疫体制を整えている。
貴族どもの栄養事情は豊かなもので、それゆえ体の抵抗力も高いから
「陰陽寮の学者たちが分析したところによると、どうやら都の水全般に
「ふーむ。つまり何者かが都に向けて
蟲(こ)というのは呪術の一種で、毒虫、毒蛇、毒ガエルといった毒のある生き物たちを壺などの容器に閉じ込めて殺し合わせるんだ。
そうして生き残った最後の一匹を使って
「蟲毒の含有量はまだ微細なものでしてね、よほど弱ってないかぎりただちに危険なレベルじゃないんですが、早急な調査が必要です」
「しかし、都全体に
「陰陽寮の学者たちの見解もそれですね。
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