第5話 勇者パーティー旅に出る・・って感じか?
ある日のことだ。
俺は
「藤太、お前も立派な若者になった。そろそろ将来のためにも他国を見歩いてはどうか?」
親父の本音はよくわかっている。
俺の都での妖魔ハンティングは、傍目には辻斬りとそう変わらんからな。
諸方面からのクレームが多すぎて、親父は頭を痛めていたことだろう。
なんとか
しかしこれは渡りに船というやつだ。
例の
「父上様、それなら私は近江国へ参りたいと思います」
あまりに素直に言うことを聞くもんで、親父はきょとんとしていたな。
「ふむ、近江国か。いいだろう。
と聞くので俺は神棚を指さして言ってやった。
「あの神弓を所望いたします」
親父は少々意外だったようで
「何?あの弓が欲しいのか?くれてやってもいいが、あれは使えんぞ。人の力で引ける弓ではないからな。昔、力自慢の男たちが5人がかりで試してみたが、ビクともしなかったほどのものだ」
俺は神棚に一礼してから弓を手に取り、ビーン、ビーンと音を立てて2、3回引いて見せた。
親父は目を丸くして驚いていたね。
「お前は幼少のころより怪力の持ち主だったが、今では神力の粋だな。よかろう。その弓はくれてやる」
こうして俺は日本一の強弓を手に入れたわけだ。
お前らの好きそうな言葉でいうなら、アイテムゲットって感じか?
まあ武器ゲットだな。
近江国へ旅立つにあたり、俺は不良陰陽師の
保久の勤務する陰陽寮という官僚機関は、
数学、天文学、医学、薬学に関する膨大な知識を要する。
あらゆる理系学問に秀でた者でなければ、とても勤まらない職場だ。
保久はそのエリート集団の中にあって、これも
賀茂家のコネで入寮したものの、学問のほうはいまひとつのため閑職に追いやられていた。
ただひとつ秀でたものといえば、天性の霊視能力だ。
こればかりは勉強すれば身に着くというものではない。
だから保久はどうせ
まあこんないきさつから、俺と保久は近江国へ旅立つことになったわけだが、そこには俺が生涯出会ったバケモノの中でも最大級の奴が待っていたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます