徹底的に作り込まれた世界観は、まるで大作RPGの世界を冒険しているよう

第3章の「海洋都市クチュール編」まで読了しました!

本作の最も魅力だと思った点は、物語の舞台となる異世界の世界観や設定が、かなり丁寧に作り込まれていることです。

国やギルドという組織の成り立ちや、それぞれの土地で暮らす人々の生活・文化など、おそらくは本編執筆前に練られたのでしょう、そう思わされる程にとても細やかに描かれていることに、良い意味で驚きました。

個人的には、各章で舞台となる土地・街で、名物的な食べ物がしっかりと描写されているのが好ポイントでした。

食べ物って、人の日常生活に密接しているとても重要なもので、そこで生活している人達の文化を如実に表すものだと思うんです。そこを丁寧に描くことで、異世界ファンタジーながらも、リアリティを持って読み進められました。

商業作品と比較するのはちょっと違うかもしれませんが、そういった世界観設定の完成度は、「うたわれるもの」という神ゲームにも引けを取らないと感じました。

現実にはあり得ない異世界ファンタジーものでありながら、そういった細やかな設定でリアリティがある世界を、現代世界から転生してきた主人公が旅して回る物語である本作は、レビュータイトルにあるように、まるでドラクエなどの大作RPGの世界を一緒に冒険しているような気分にさせられました。

またタイトルにもある主人公の「吐き気を催す程の顔」の設定には、様々な伏線が張られていて(2章時点では回収されていませんが)、これは上手い!と思いました。

途中読み進めている中で、見ているだけで吐いてしまう顔って、これって作風としてシリアスとして描いているのか、ギャグとして描いているのか戸惑う時があったんですが、そういうことだったんですね。
気になる方は、是非本編を読んでみて下さい。

★3つでは無かった点は、主人公の設定についてです。
この設定であれば仕方ないのかもしれませんが、妙に落ち着いている態度や言葉遣いなので、物語全体として淡々としている印象を受けました。

才能・実力もチートに近いレベルなので、事件が起こっても淡々と片付けてしまう主人公。

恋愛要素もあり、恋愛経験に乏しい主人公は戸惑ったりしますが、感情表現が控えめなので、やはり淡々としているイメージを受けました。

チート(に近い)実力を持ちつつも、紳士的で謙虚な態度は、この主人公の美徳でもあり、私も好感を持っていますが、もう少し感情を剥き出しにして、事件なり恋愛なりに当たるイベントがあってもいいのかなと思いました。
(3章以降から出てくるのかもしれません)

但し、個人的な趣味嗜好になってしまうのですが、無茶苦茶する俺TUEE異世界転生なろう小説系の主人公よりは、何倍も好きなキャラです。

長文失礼いたしました。
これからも頑張って下さい。

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