身の毛もよだつ顔の主人公を、この世界は待っていた。

 他人から見ただけで嘔吐されるほどの顔の主人公。それは怪物を混ぜただけではなく、その上に硫酸をかけたような顔だった。そのため生まれた時から主人公は、自分の顔のために不遇の扱いを受ける。
 倒れていたところを師となる女性に助けられ、一命を取り留める。師と赴いた先では、魔法の仮面をつけて過ごしていた。徐々に己の醜い顔を認めていく主人公は、道場にて初めて同い年くらいの友を得る。やがて、三人でこの世界を旅したいという夢も持つようになっていた。そんな中、友人の内の一人である少女が、主人公に告白をする。しかしその少女に向けて、主人公は仮面をついに外すのだった。
 それでも友人と二人で世界を旅する主人公。その成長に期待したい。

 世界観が細かく作りこまれている印象があるが、モデルとする土地が浮かぶせいか、抵抗なく世界観を受け入れられた。途中、主人公は仮面をつけたままであるのに、自分の顔を受け入れたという表現に首を傾げたくなったが、その点も後にフォローが入り、納得できるようになっていた。自己の醜さを受け入れ、友人と友情を育む主人公に、好感が持てる作品。

 是非、御一読下さい。

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