人造燃料と、新宿区超直下型地震の真相について

『おマツリ少女とSCP!アフター!!』に登場する次世代燃料。


 2011年、インドの科学者デイビッド・シャイテイン博士が日本の太平洋沖で発見した未知の鉱石、通称『ルルイエの宝石』から抽出した莫大なエネルギーを液体燃料化させたもの。


 2017年に実用化が発表され、2026年に一部の自動車や輸送機の燃料として導入された。2030年には完全に生活を支える主要な資源となった。


 水と空気さえあればいくらでも作ることができ、非常に低コスト、環境負荷もほとんどないどころか、大気浄化の効能さえ認められる人類の福音。


 当然というかいろいろとキナ臭く、世界中が“静止”する異常事態時にも効果を発揮し続け、主人公の雅人からは「この世もものではないかもしれない」と評される。


 事実、人造燃料のもととなる『ルルイエの宝石』も、人造燃料の毒性を廃するために使われる『S酵素』も、異世界のブツである。


 そもそも『ルルイエの宝石』からできる人造燃料は毒性の塊で、実のところ、まったく実用化の目途など立っていなかった。


 しかし、2019年に起きた新宿区超直下型地震―――実際は『ぐるり異世界、めぐり世界。』https://kakuyomu.jp/works/1177354054893957503 の魔王襲来による壊滅的被害の後、魔王の残した魔力の残滓ざんしが人造燃料の毒を中和する作用があると分かり、世に広まる。


 この情報は、各国諜報機関、国連機関、報道機関、そのどれともつかない秘密組織たちによって、丁寧に畳まれ、くるまれ、見逃された。


 発見者のデイビッド・シャイテインはその後、次世代ホログラフィックPC『CT』を開発。これもまた革新的な全没入型VR技術『電脳潜行』が手軽に行える機能を備えていたこともあり、人気が爆発、巨万の富を得る。


 先回解説したように、『電脳潜行』とはVR技術などではなく、情報海オーシャンと呼ばれる異世界へ人間の意識/魂を飛ばすオカルティックな代物である。そんなことを“手軽に”できてしまうデバイスが、尋常な科学技術のみで作られているはずもなく、技術の中枢は巨大なブラックボックスと化している。


 時はすでに2030年。すでに世界は、戻れない。

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暇なときに読む人物紹介・設定集 祖父江直人 @naotosobue

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