第2話 美少女の先に

「う...うぅ、、」


絢斗が眼を覚ます


「紅い天井いや、洞穴か?なぜ、こんなところにいるんだろう」


姿勢を起こし周りを見渡す。そこには鬼がいる。

にわかには信じがたい、童話の話に出てくる鬼が見渡せるだけで数百はいるだろう。

「ギャァァァッ!!!」


「うひぃ!!」


思わず変な声をあげてしまった。

そうかそうか、これは夢だな、間違いない。


「残念だけど夢じゃないよ。」


後ろから幼女の声が聞こえる。声の方へ振り向くと、一人の少女がいる。



「やぁ、我はこの地獄の王閻魔だ!!!」


そう告げる少女。その少女は赤髪ですらりとした体形で、顔立ちは貴族令嬢のよう。髪型はツインテールで先がクルクル巻いている。


「へぇー。」

「なんだいその態度は??せっかく閻魔直々に迎えに来てやったのに。」

「やっぱり、夢だ、俺なんも悪い事してないのに、地獄に来るハズがない。」

「いや、君は覗きだよ。」

「あ、そうか、」

「でも覗きはいいでしょ、俺、女だし。」

「君、男じゃないのか?」

「そうだけど。」

「閻魔様に嘘が通じるとでも?」

「いやいや、ほんとなんだけど、」

「またまた。」

「そんなに疑うなら、触ってみろ!!」

絢斗は閻魔の手を引っ張り胸に押し当てる

「んな、馬鹿な!」

閻魔は驚く

「これでわかったか?俺は女だ」

「う、、うぅ、私より胸がデカい、」

「どうしたら、そんなに大きくなるんだ!!」

知らんがな、と心で思う

「すまない、取り乱して、でも君がまさか女の子だったとは思わなかったかった。」

「どうしよう。」

「うーん」っと考え込む閻魔


「よし!君に一つ提案しよう!」


少女は、乾いた笑顔で口を開いた。


「君…異世界は好きかな?」


少し間が空いた。


「好きだけど?」


「そうかそうか!」


「なら、決定だね。」


「君を異世界に行かせてあげるよ!」

「まぁ、間違えた謝罪とでもいっておこうか、」


「別に間違えて地獄に送って神様の怒りが怖いとかそんなんじゃ決してないからね?いいね?」


「わかった、わかった。」

神さまに怒られるの怖いのか。


笑顔に戻し、肩をぽんぽんと叩いてくる。

その笑顔は恐怖すら感じる。


「あと、もう一つ聞こう。」

「異世界で好きな種族は何かな?」


「えーと、獣耳娘かな、いわゆる獣人の女の子です。」


「ふむふむ、では行こうか!」


閻魔さまの手からステッキが現れる

形状は魔法使いが使ってそうな一般的なものだ

そして、閻魔さまが移動扉ゲートと唱える

すると、黒い楕円形の移動扉ゲートが現れる


移動扉ゲートの先は道が引かれた野原だ。

日の照らす空の下。近くには森、、、いや林がある。


そのほかには、小動物 昆虫と、やはり、見たことのない生き物ばかり。


「本当に異世界だ、」

目をキラキラさせ、感激していた。すると後ろから影が出て俺は何かに殴られた。


気絶して数十分

若い女が絢斗に歩み寄る。


「ん?あんな所に人がいる?」


「どうしたのかしら、」


女性が近づいてくる。


「大丈夫ですか?あれ?この人気絶してる?とりあえず治療院へ連れて行かないと、馬車を呼ぶから待ってて。」


「えぇーと、通信石、通信石。」


「あった治療院へ通達!」


「ルテシア林のルグース道付近に人が気絶してるので来て下さい。」


若い女は、『通信石』をスカートのポケットへしまう。


「よし、あとはこの人を日陰まで連れて行けば、」

ズリズリ


「結構重たいな」

「んーと、フラット」

気絶しているケンが浮かび上がる


「よーしこれで、」

女は、手のひらを絢斗にかざして日陰へ移す。

「ふぅ、あとは馬車を待つか」


数分後


「あっ!きたきた!」

「こっちこっち!」


馬車が止まる

気絶しているケントを乗せ


治療院へ向かう

着いた治療院でケントが目を覚ます


「ふぁ…」

ここは、どこだろう。

目覚めた場所は、ベッドのある木造建築の部屋

天井は白く塗装されていた。

「あ、やっと目が覚めた?」

隣から、声がした。

「あなたは?」

と素朴な質問まぁ、初対面なわけだから、その質問が出てくるのは普通だろう


「私は君を治療院まで連れてきたの」


「あぁ、それはどうもありがとうございます」

そうか、閻魔に気絶させられたんだったな


「それより、なんであんな所で倒れてたのよ。びっくりしちゃったじゃない」


「旅をしてたんだけど、食料がそこをつきちゃって」


「旅人なんだぁ、」


絢斗をまじまじと見る


「若いね、旅人ってほとんどがおじさんなのに」

「旅っていいですよ、いろんな国に行っていろんな人に出会て」


と嘘を言いながら、女性に目を向ける

よくよく見ると、耳に尻尾

しかも可愛い超可愛い


発育も良いしスリムだし!ヤバい天使!


青いロングヘヤーに青いネコミミ

青いネコ尻尾


顔だちは可愛い、童顔と言うべきか、悩む

身長はケントより、3,4㎝違うぐらいだろう

女性にしては高身長、、ケントが言えたことではないが


絢斗はその美貌に見入ってしまう


「大丈夫?」


「は、はい大丈夫です!」


「まぁ、安静にしてなよ

私はちょっと用事あるから

失礼したわね」


「んじゃ、またくるよ!」


「はい!」


「ふぅ、異世界来て、いきなり気絶とはなんとも言えないな……それにしてもあの娘…可愛い」


「あぁ、起きてたかい?」

「はい」

「私はこの治療院の院長」

「ドクタ・シ・ラボスレイムだ、よろしく」


「よろしくおねがいします 」


(うわーなんだよドクタって、、ドクターじゃん)


ケンは、心の中で大笑いをしていた


「えっと、君の怪我当の説明をするね、」

「熱中症と」

「擦り傷ぐらいかな」


「明日治療術師がくるから、ゆっくり休んでね」


「では、またね何かあったら、そこのベルをならしてくれたら来るから」


「はい!」


院長は部屋から出て行った



「お~~い聞こえるか~」


「? 閻魔様?」


「そうだよ閻魔だよ!」


「君に話しておくことがある」


「今回、異世界のお決まりチートっと言いたいけど、その特権をもっているのは神だけ、だから君はチートなしのサバイバルをしてもらう。」


「まぁ、いい仕方ないで、魔法は?」


「魔法は使えない違う世界から来たからね」

「でも、魔術なら使えるよ」


「よし、あと我と話したいときは脳内で呼び掛けてくれれば話せるぞ!では!」


ガチャン!


「ガチャンって黒電話かよ」



「今日は疲れたし、寝よ」


お休み異世界!そしてお休み俺!」


ケント異世界生活1日目終了

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異世界は愛にみちあふれている 文月紅凛 @kiharaRIN

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