第4話 映画とフィギュア①
今日スズキが現れたのは都内の映画館。
[アメイジングコミックス]の実写映画化シリーズの集大成[チャレンジャーズ ゲームオーバー]…に続く間を埋める物語を見にきたのだ。
「私としたことが映画を2人で観に来るハメになるとは。」
そう、今日のスズキは1人ではない!
なんと孤高のとか言っておきながらちゃっかり女子と一緒に映画を観に行くのだ。
「そろそろ待ち合わせ時間じゃねーかアイツ。先輩を待たせるとはいい度胸してんな」
待ち合わせ相手からRINEが届く。
「おー?これは遅刻の連絡かー?」
–すいません迷いました−
「チッ、まぁいい。こいつ遅れてくる可能性も計算済み。」
待つこと10分。バタバタと小走りしながら小娘が現れる。
「わーすみませーん!ドーナツ屋さん見つからなくて」
「親切に改札出たら右に曲がれって教えたろーが。改札1つしかねーのにどうやったら間違うんだよハゲ」
「ハゲてないです」
このふざけた小娘はスズキの職場の後輩ヒノモト。腐りぎみのアニメ好き女子だ。最近アメイジング映画シリーズをレンタルして観ているらしい。
「スズキさん映画は一人で観るのが至高とか言ってませんでした?珍しいですね」
「そーだよ。好きな映画は一人でニヤニヤしながら観るのが1番だし隣に人が絶対座らない席を取るのがジャステイスなんだよ」
スズキは本来映画を観る前に原作を読み、原作を実写でどう表現しているか、それとわかる人にしかわからないイースターエッグを探してニヤニヤしながら観る事を好むので一人で観る方が都合が良い。映画を観終わったら即SNSで感想や解説、見逃したイースターエッグをチェックしたいので感想を言い合う時間は無意味と考える非常にめんどくさいタイプだ。そんなスズキは今回、映画のキャラがデザインしれたデジチケ欲しさにいつもと違う方法でチケットを買った結果、ミスって2枚買ってしまったのだ。
「間違って2枚買っちゃったしアメイジング映画シリーズ興味のあるヤツを誘う方が無駄に買ったチケットの供養にはいいだろ?」
「そんな事言ってー。実はヒノモトに興味あるとか?」
「ねーよハゲ」
「ハゲてないです」
ヒノモトはスズキの一回り下で恋愛感情はないがそこそこ懐いている。細いところも通れる特定の層に需要がありそうなフォルムをしている。今回誘ったのは気軽に誘ってホイホイ着いてきそうだったからに他ならない。
「んな事より、これから観る[アンコマン]は時系列的には[チャレンジャーズ アルティメットウォー]の後の話になるけど[アルティメットウォー]は観たの?」
「観ました!その前の[ブラックパンサン]観てないし他にも抜けてるのもありますけどパッキーが出てるのは全部観てます!」
「でたー好みの俳優目当てで映画観るやつー!じゃー[ブラックパンサン]も観とけよー。[ドメスティックウォー]から(アルティメットウォー]の間にパッキーが何してたかわかるぞ」
「えっ!?なにそれ観てないです!わー見落としてたー」
好きな俳優が出ているから映画を観る。これは映画を観る動機としては十分。スズキもその辺は否定はしない。話しながら歩いているとすぐ映画館に着いた。上映開始10分前である。
「飲み物でも買うか。ポップコーンいる?休みの日に誘った手前奢ってやるぞ」
「いります!あ、チケットはいいんですか?」
「とっくに発券してるわ。さっさとレジ並ぶぞー」
すごくスマートに見えるスズキだが、慣れないデジチケを買ったことで不安になり実は待ち合わせの1時間前に来て店員に聞いて手取り足取りの末に発券作業を済ませていたのだ。
「ポップコーンも買ったし中に入るかー。4番シアターはこっちだな。」
着席し上映前のCMを眺める。モトツはポップコーンをボリボリ食べている。
「これだから映画は誰にも干渉されない位置で観たいんだよ…」
「ん?なんか言いました?食べます?」
「いらん。あと早速俺の分のおしぼりまで使うなハゲ」
「ハゲてないです」
長い予告の後、ついに映画[アンコマン]の上映がはじまる!
割愛!
ー上映終了ー
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