第2話 孤高のフィギュアマニア②
まずはイヤフォンを外す。お店のBGMも情報の1つ。有線や店主の好みのCDとかそこ1つとってもセンスを感じられる。単純に映画のサウンドトラックというのもいい。公開したての映画を観てお店に足を運ぶ人もいるからね。
店内に入ると店員の控えめないらっしゃいませーで迎えられる。見るからにサブカル好きそうな金髪ショートボブで丸メガネの女性店員。
「貴様にアメトイのなんたるかがわかるんかコラ?最近のアメコミ映画ブームに乗っかってバイト始めました〜ってか?フン、いやいい。こちとら自分の積み上げてきた知識が武器じゃい!」
まずは店内をぐるりと一周する。広さはコンビニくらいか。綺麗に並べられているので見やすい。ショーケースの中にはかっこよくディスプレイされたフィギュアが並ぶ。中には販売終了したものも並べられ非売品の札が。店に非売品を並べるとか何考えてるの?と思う人もいるかもしれない。しかし非売品というのは 今は ということなので、お店のセールの際には店頭ディスプレイ品として格安で並ぶ事も少なくないのでチェックしておいて損はない。
店内は作品ごとに分けられていて見やすいので手に取りはしないが陳列棚を眺めつつゆっくり歩く。隣接するジャンルを把握しておいて損はない。スズキが立ち止まったのは国内でも逆輸入で人気を博した[チェンジフォーマー]シリーズ。
「[チェンジフォーマー]は私の守備範囲外だが沼と呼ばれるくらい魅力のある事は知っている。主要キャラくらいしか把握していないが変形おもちゃが故に発達した関節機構がアクションフィギュアに与えた影響は計り知れない。純粋に男の子としてかっこよさを認識せざるを得ない。」
映画公開も控えて実写版と原作版の主役ロボが新発売らしい。形成色といわれるプラスチックそのものの色と細かな塗装をうまく組み合わせて子供向けのおもちゃとは一線を画する逸品に仕上がっている。値段の割には小ぶりだけど。
「まぁ、レビューブログでチェックするくらいでいいか…残念ながら[チェンフォ]に金を使えるほど余裕はない」
次はスズキのお目当のヒーローものコーナー。まずは本命[アメイジングコミックス]作品からだ。
「なっ!?これは海外での発売は知っていたが日本でもう売られているのか?[ピンススタクラブ]でも[ツイーティー]にも国内の同業者が入手しているのは見てないぞ?」
輸入トイあるあるである。
国内の大手おもちゃメーカーが輸入元として機能していれば発売日が明確に発表されるが輸入トイショップは小さな店が多く海外から買い付けてお店に届いて店に並べた瞬間が発売日なのだ。
「この店のツイーティーには書いて…ある!1時間前の投稿。[バスプロ]人気シリーズ[アメイジングレジェンド]6インチアクションフィギュア タランティーマンシリーズ入荷!?」
価格は税込4200円。近年のシリーズの商品は大体この価格だ。当然多くはない輸入トイ専門店では商品の元々の価値+輸入代金がかかっていて、[トイバラス]で399円で売っていそうなおもちゃが1980円なんてこともザラにある。
店で取り扱いがスタートしたばかりだし不人気キャラは値下がりする可能性はある。
「今回のこのシリーズは6体同時リリース。私の本命はタランティーマン…のクローンキャラのバイオレットタランティー。これは人気キャラだし店側も人気を把握して多めに入荷するに違いない。これは後回しだ。ここで見極めるべきなのはライト層が選ぶ人気No.1ではなく、わかってる奴が買い逃さないNo.2なのだ」
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