第6話 [アメイジングレジェンド]
大都会東京。日付が変わる頃、スズキは電車で帰宅中。
「今日は忙しくてツイーティーもチェックしてなかったから巡回するか」
海外商品を買い集めているスズキにとってネットは強い味方である。1990年代に起こった日本におけるアメコミブーム当時に出版された専門誌はどれも廃刊になった。今ではアメコミフィギュアは映画公開に合わせておもちゃ雑誌で特集される事はあっても、はっきり言って詳しい人間からすると全くもってか痒い所に手が届いていないのだ。多少の英語力さえあれば海外での商品発売情報を入手したり、なんなら個人輸入もできる。それに SNSの発達により同じ趣味のコレクター同士の交流、レビューブログなどにより情報収集が可能。さらには自身のコレクションの自慢ができる。最近では #オモ写 なるハッシュタグでフィギュアを自分なりにポーズをつけてよりかっこよく、より美しく撮影した画像がアップされ界隈ではブームになっている。SNS社会はコレクター業界も進化させたのだ。
「お。フォロワーのコークさんはプロフェッサーHEXをお迎えしたのか。この人ほんとHEXMEN好きだなー。他には…ゴールデンサムライ!これは[アメイジングレジェンド]だよな?見たことないぞ?」
ここで何度も出てくる[アメイジングレジェンド]について説明しておこう。
[アメイジングレジェンド]とはアメコミ会社[アメイジングコミックス]のキャラクターを立体化しているアクションフィギュアシリーズで、現在までにマイナーキャラも含め数百体のキャラクターを同じフォーマットで立体化している。つまりとてもコレクションしがいがある。もともとは2000年代前半に[トイバズ]という会社から[アメイジングレジェンド]シリーズを発売していたが2000年代後半に[アメイジングコミックス]の商品化権利が海外おもちゃメーカー大手の[バスプロ]に移り、シリーズの名前[アメイジングレジェンド]を引き継いだ。その後トイバズは倒産。技術は時代とともに確実に進歩しているがトイバズ社のフィギュアのクオリティは高くオーパーツと呼ばれ現在もコレクター人気が非常に高い。7年ほど前までは1体2000円台で買えていたが現在は新品1体ギリ4000円未満といったところ。ただしプレ値や不人気商品、中古品といくらでも値段は上下する。
「いや、[アメイジングレジェンド]6インチのゴールデンサムライは現行シリーズでは海外でも発売されてないはず…十数年前に出た[トイバズ]版にしては雰囲気が違うな…これは…この関節は3.75か!」
世界的に見てアクションフィギュアのサイズの最大勢力はおそらく3.75インチ(約9㎝)と思われる。これは世界的大人気SF映画[スターウォール]のベーシックフィギュアシリーズがこのサイズなのが要因。歴史もある。
次に多いのはたぶん6インチ(約15㎝)これは子供がフィギュアの胴体を握って肩から上から出る遊びやすいサイズという説があり、日本国内においても約15センチのフィギュア、人形は結構多い。あとは高価格フィギュアに多い12インチ(約25㎝)こちらは服が布で作られていたり小物から塗装まで手の込んだものが多い。雑な子供用おもちゃももちろんある。
「ん。調べたらやっぱ3.75だ。[アメイジング]の3.75は出来はいいけど取り扱ってる店が少ないからなー。たまに買ってはみるものの集めるとなると修羅の道だよなぁ」
スズキがメインで集めているのは[アメイジングコミックス]のキャラクターの6インチサイズのアクションフィギュア[アメイジングレジェンド]シリーズなのである。先述の通り同じフォーマットで数が多く統一感のあるコレクションが可能な所が気に入っている。
と、ここでメッセージが届く。
「お。これは私が認める数少ない同志、覆面ヒーローマニアのテツヲさん!」
-今週末 中野ブロードロードに狩りに参ろうぞ-
「中野ブロードロードということは[がんだらけ]!いつかなくしたものがここにある!でお馴染みの!!久々だし売り場の流れも変わっている頃だろう。久々にお宝狩りにいくか。」
-いいですとも!-
次回 「中野ブロードロードの戦い」
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