第二章⑫

 兄妹喧嘩を経て、更に一層絆を深くした純と弥恵は一致団結して次の企みに取り掛かる。今度こそ吊り橋効果で愛の告白である。


「トランプでもやろうか」


 牛乳を酒のように煽る、タオル地の二人を前に純はそう宣言した。弥恵は待ってましたといわんばかりに「じゃあ、私の部屋でやろう」と比呂巳を無理矢理二階に連れ込んだ。布団はすでにセッティング済みである。三人はその上に座り、ババ抜きを始めた。ここまでは計画通りである。あとは純が真っ先に上がって「ちょっとトイレ」と言ってブレーカーを落としに行く。そういう算段になっていた。


 けれど……。


「あがったわ……」「あーがりっと!」と純は一向にあがらない。常に最下位の仕事でカードを切っている。シャッフルがそのつど上達していく様に弥恵は憤りを覚えざるを得ない。その気配を純はひしひしと感じているためか、余計上がれない。


「ちょっとトイレ」


 そう言って部屋を出て行ったのは比呂巳であった。部屋にはババ抜きをする意味のない二人が残された。けれど律儀に純と弥恵はゲームを終わらせた。またしても純の負けだ。


「どうしてっ! どうして兄貴は勝てないのっ!」


「知るかっ! 俺が聴きてえよっ!」


「運が一〇〇パーセントを占めるゲームなのに……、この部屋に不幸が蔓延しているとしか思えないわ」


 それにはもちろん心当たりが合った。純は今更のように不幸のお守りを思い出し「あちゃー」と顔をしかめた。


「仕方ない。細工をするわ」とそういう弥恵の目の下にはうっすらと隈が出来ていた。


「細工って?」


「私がババを隠して持っていればいいんだわ。そうすれば、」と必死の形相で山札からジョーカーを探す弥恵である。それを横目に純はあることに気が付いた。


「今すげぇことに気付いたんだけど、」ともったいぶった言い方をする。


「何?」とすがるように弥恵は純に顔を近づける。ぽやっとしたシャンプーの香りが漂い、純はふわっと幸せな気分になる。


「怒らない?」「怒らないわよ」「ぶたない?」「ぶたないわよ」「本当?」「本当」


「じゃあ」と純は口を開いた。「そんな小細工しなくても「ちょっとトイレ」って言って出て行けばいいんじゃね?」


 ガツン。純の頬骨めがけて弥恵の左フックが打ち込まれ、部屋に鈍い音が響いた。


「ぶたないって言ったじゃんっ!」


「ぶったんじゃないわ、殴ったのよっ!」


「どうしたの?」と比呂巳は純の部屋から『るろうに剣心』と『スラムダンク』を抱えて持ってきた。「完全版はいつ買うのさー」


「おいおい、自己破産だよ」


 人生ゲームだとどうなるんだろう、との純のどうでもよろしい好奇心のため、片付けの手軽なトランプから片付けの面倒な人生ゲームへと変った。純は序盤こそ、六本木ヒルズの最上階に住めるほどの資産を得たが、その引越しの直後、マネーゲームの失敗により、多額の負債を抱え込み、結局は破産した。ゲームとはいえ、少々、いやかなり凹んだ。これからの人生を暗示しているようで。天国から地獄の道のりはあっという間だったなあ、と路頭に迷ったITベンチャーの社長よろしく、純は感慨に耽る。


「感慨に耽っている場合ではないのではないですか?」


 そういう弥恵はアイデア商品で一発当てたギャル社長で、セレブな生活を盤上で行っていた。比呂巳は逆玉婚でそれなりに豪勢な生活を送っている。妹たちが幸せであればいい、と純は感慨に耽る。


 って感慨に耽っている場合ではない。ブレーカー、ブレーカー。


「ちょっとトイレに」


 弥恵に流し目を送る。弥恵はこっくりと頷いた。念のため比呂巳にも流し目を送る。比呂巳はどきっとしたようになり、恥ずかしげに頷いた。


 それが運の尽きだった。


 純は言葉通りに用を足すと、別に足さなくてもいいのだが、ブレーカーを下ろしに台所へと向った。カチャリとブレーカーは落とすと一気に静寂が訪れた。簡単なもんだな、と余裕をかまそうとした瞬間だった。


「ひゃあ、何!?」


 あれ?


 なぜだか、弥恵の部屋にいるはずの比呂巳の悲鳴が後ろから、それもすぐ近くから聞える。


 なぜだろう? 分からない。


 今、比呂巳は弥恵とよろしく吊り橋効果なはずである。


 しかし、比呂巳は純の目配せに「大事な話をするからおいで」的な意図を間違って読み取ってしまったのである。レジにシーチキンを通したらベビードールと表示されるみたいに。


「ひ、比呂巳?」と純は暗闇の中、比呂巳を呼んだ。


「て、停電? びっくりした」


 どうやらブレーカーを落としたところは見られていないようであるが、このままでは計画が台無しである。まあ、弥恵と比呂巳が同時に部屋にいない時点で既に失敗しているのだが、純は気が動転してしまって慌ててブレーカーを上げに手を伸ばす。しかし暗闇の中で何も見えず、光の耐えない現代社会で頼られなくなって久しい三半規管は不覚にも機能しない。


 純の両腕は暗闇をおっとりがたなのようにふらふらとさまようと、何か柔らかいものを掴み取ってひたっと安定した。


 一体なんだ? 


 あまり大きくない。けれどこの柔らかくてマシュマロのような弾力を持ったものは? 


 まさか……この感触は?


「ひゃあ」


 比呂巳の悲鳴が今度は前方から聞えたような気がする。


 普通ブレーカーというのは間違って下ろされないように高いところにあるはずである。最近は節約志向も高まり、手の届くところに設置されている住居も増えてきているようであるが、しかしここは日本の辺境地帯紀州和歌山である。そんな都会的なトレンドが伝わっていようはずがない。まして旧来の陋習を重んじる高野家は質素倹約を旨としながら節約などには無頓着というなんとも矛盾に満ちた家柄として有名である。とどのつまり純が手を伸ばしてやっとのところにブレーカーはあるのであって、ロリ娘の胸の位置にはブレーカーなどないということをこの際言っておきたい。


 しかし純の両の手は一寸のくるいなく比呂巳の年齢にしては多少小ぶりなまな板としばし揶揄される女の子の神秘をがっちりと捕まえていた。


 捕まえただけではなく、純は掴んで中々離そうとしない。


「ひゃあ」


「す、すまん」


 思わず(?)力が入ってしまったらしい。中学生の悲鳴を二度も奪って、やっと純の手は離れていった。


 沈黙。互いの胸の鼓動は互いに聞えているんじゃないかと思えるほどに高鳴っていた。


 いわゆる、吊橋効果ってやつですね。


「……い、いいよ。兄貴なら」と沈黙を破ったのは比呂巳だった。女子相手だったらどんなことがあっても気持ちを自由にコントロールできる比呂巳だったが、男子を前にそれは難しいらしかった。弥恵と比呂巳の通う学園は小学校から大学まで一貫して女学校である。年頃の男子は純しか知らない。しかも比呂巳は純が大事な話をしてくると思っていたので、余計気持ちが高まってコントロールできなかった。


 しかし純はそんな比呂巳の気持ちを露程も知らない。弥恵と比呂巳はともに百合だと確信しているのだ。


「え? 何がいいって」と純は比呂巳の贔屓にしているバンドのニューアルバムの出来が凄く良くて、そのCDでも貸してくれるのかな、なんて見当はずれなことを考える。


 目の前にいる比呂巳がぷくっと頬を膨らましていることは暗闇で分からない。


「だ、だから、その兄貴になら、そのごにょごにょ」


「ごにょごにょじゃ分かんない。それよりもブレーカー、ブレーカー」と純の手を伸ばす。その手は比呂巳の手に包まれるように握られた。小さな両手が純の右手を離さないようにぎゅっと強く握っている。かなり手汗を掻いている。熱でもあるのか、と純は不安になって問いかける。「比呂巳?」


 どっくどっくと血液が流れる音が純にも分かる程、比呂巳は極度の緊張を味わっていた。


「いつになったら大事な話、してくれるの? いい加減、待ちくたびれちゃったよ」


 か細い声が暗闇を漂う。女の子に告白されたり、ラブレター貰ったりするのとは勝手が違う。男の人と付き合うのって良く分からない。だからどうでもいいことばっかり考えちゃって比呂巳はもう「待ちくたびれてしまった」のだ。


 そんな気苦労をしているとは知れず「大事な話はこれから弥恵がする予定なんだがな」と純は、「じゃあ、比呂巳の方から言ってくれない。どうにもこうにも、いざとなると決心が鈍るっていうかさ」と軽い感じで頼み込んだ。


「え? 私が、するの?」


「やっぱりされたいのか?」


「別に……でもそういうのって、普通、男の人の方がするんじゃないの?」


「男? ……それはいわゆる攻めか、受けかってことか?」と純はBLを例えていっているのか、と勘違いする。あながち間違いではないので「極端に言えば、そうなるのかな」と比呂巳も同意を示す。


「だったら比呂巳の総攻めだろ。それで速攻でリバが発生で比呂巳の総受けになる。どうだ?」


 純のカップリングの構図は基本比呂巳×弥恵らしい。リバは週に一回のペースで発生したら丁度いいんじゃなかろうか、との考えである。


「どうだって言われても……兄貴、卑怯だよ」と告白した途端に押し倒されてあんなことやこんなことをされちゃうところまで想像してしまい、一人「かあーっ」となっている比呂巳であった。


「そこを何とか、お願いします。弥恵のために」


 そうね、せっかく弥恵がセッティングしてくれたんだから、親友としてそれを無下にするなんて出来ないわね、と比呂巳は腹を括った。


「分かった。する。するからねっ!」と快活な声が飛び出す。


 告白なんてしたことないから、比呂巳は祈るように純の手を強く握った。すると純は条件反射的に握られたので握り返してしまう。それが比呂巳の純粋無垢な心に勇気を与えたらしい。


「私、広瀬比呂巳は高野純が大好きです」


「……はい?」


「これでいい? ちゃんといい返事したよ?」


「……ええッ!」


「なんでそんなに驚いてんのさあ?」と不服そうに比呂巳は言った。純は比呂巳が言うように驚いていた。だって比呂巳は弥恵が好きで、弥恵は比呂巳が好きで、俺は哀しいかな蚊帳の外のはずだ。悲しいけれど、ちゃんと自覚はしている。


「それはどういった意味で?」


 正直、比呂巳の告白を素直に受け止められない。変んな風に誤解が付属しているかもしれない。そうとしか考えられないから、聞いてみる。


「それはその、兄貴とあんなことやこんなことをしたいって意味だよ……、言わせんなよ、こんなこと」


 なんだそのマジで俺にラブしてます的な雰囲気はっ!


 暗闇の中でも比呂巳が嘘を言ってないことは純にも分かった。けれど申し訳ないが純は妹の友達以上の感情を比呂巳には抱けない。そしていくら吊橋効果だからといって限度があるということことを純は知った。まあ、付き合いの長い者同士が吊橋効果を狙ってもあまり意味はないのであるが、そのことを純は身をもって知ったのだった。


 というか、そんなことよりもどうして比呂巳は俺に告白を迫っているのだろうか?


「……比呂巳の気持ちは嬉しいが、でもお前は弥恵のことを好きなんじゃなかったのか?」


「好きだよ」


 そう即答したように比呂巳は弥恵を好いているはずだ。


 そして、聞いてみる。


「それはどういった意味で?」


「親友って意味に決まってんだろっ!」


 あれ?


「……弥恵とあんなことやこんなことしたくないの?」


「そんなことする気はないよ。弥恵も私とあんなことやこんなことしたくないって言ってたし」


「?」と純は頭の上にはてなマークを作らざるを得ない。弥恵あんなことやこんなことをしたいほど比呂巳を好きだけど、あんなことやこんなことはしたくないのか? プラトニックなのだろうか?


「そうなのか? で、でも、弥恵にキスしたんだろ?」


「するよ。女の子同士だもの。ごめんねのキスぐらいするよ~」


 なるほど……ん?


 女の子同士のキスは普通という比呂巳の意見。


 そして比呂巳は親友という意味で弥恵が好きだから……つまり、比呂巳は百合っ子じゃないってことか?


「……比呂巳は女の子同士の恋愛ってどう思う?」


「なんなの雫も弥恵も兄貴も、そんなに私に同性愛についての意見が聞きたいの? BLの知識でしたら好きなだけご披露しますけど。あっ、もしかして兄貴ホモなの」


「ちげーよっ、も、もしもだ。お前のことに特別な感情を抱く女の子がいたとするだろう? そしたらどうする?」


「それはどういう意味で?」


「そりゃあ、あんなことやこんなことをしたいという意味でに決まっているだろ」


「……まあ、相手によるよね。私はリベラルな人間だから男とか女とかあんまり気にしないし」


 だから比呂巳は弥恵の気持ちに応えてくれるんだろ?


「弥恵があんなことやこんなことをしたいって言ったら?」


「だから弥恵は私をそんな目で見てないんだって。それより、兄貴の返事まだ聞いてないっ! 早く答えてっ!」


 ……返事?


「私が好きなんでしょっ! 付き合うんでしょっ! だから今日パジャマパーティーをしたんでしょっ!」


 …………………………は?


 比呂巳の剣幕は純の心を素通りした。「なんだそれ?」という感じで。


「悪い、多分、比呂巳は勘違いしている」


「……へ?」


「言いか、よく聞け。俺はお前のこと大好きだよ。もちろん妹の親友という意味で。でも大好きの性質は遠目から見てもはっきりと違いが分かるほどに乖離しているのは分かるか? 比呂巳の愛はきちんと俺には届いた。しかし比呂巳との云々に関して俺にはゆがみがないんだ。とどのつまり、俺は比呂巳に欲情しないんだ。これっぽちも、欲情した試しがないんだ。それはなぜか? 第一に比呂巳は妹の親友である。第二に俺はロリコンじゃない。そして第三に」と純は一息ついてから、


「お前は貧乳だ。さっき確かめてそれがはっきりした」とまるで人が変わったみたいに抑揚をなだらかにつけて、プレゼンテーションをするように言った。「これで俺の気持ちは確かに伝わっただろう」となんだか満足げの純であった。


 一方、純の「よく聞け」の言い付けを守って、よく聞いていた比呂巳はその言われように理不尽極まりないご様子、ぷんぷんといきり立っている。


「なんだよ、それ? なによ、その言われよう! 私、兄貴に振られたってこと!?」


「そういうことになるなあ、残念でした」


 平然と言い放つ純の襟首に比呂巳の手が伸びる。暗闇なので首を絞めたくても捉えられない。


「くっはあー。人の良心に付け込みやがってこんちくしょー。兄貴なんてこれっぽーっちも好きじゃないんだからなっ! 兄貴なんて大ッ嫌い! このバカちんっ!」


 どうして純なんかにコロッとやられてしまったのだろう。比呂巳は自分の惚れっぽさをつくづく後悔した。振られて、冷静になってみれば純なんかを好きになるはずがないのだ。純を好きになるくらいだったら弥恵を好きになってめちゃくちゃにしてやる。そっちの方が形而上学的で、なんだか文学的で、甘酸っぱい一夏の経験としてふさわしい。


 比呂巳は今日というこの日を抹消することに決めた。


 二度と思い出すもんかっ!


 しかし、封印の作業を妨げるように暗闇の中から純のニタニタとした表情からこぼれる野次が飛ぶ。


「比呂巳、それはもしかしてツンデレってやつか?」


「デレる要素がこれぽっちもねーよッ!」


「比呂巳、俺はお前の告白を一生忘れないぜ」


「消せー、記憶から消ーせっ!」


「比呂巳、兄貴のこと大好き。ふふっ」


「やーめーろー」


「いつだってお前はおっちょこちょいなんだから」


「兄貴が電話なんか掛けてきて、もったいぶっていうからだろっ!」


「火の無いところに煙は立たないっていうよね~」


「ちがうわい! ……そもそも、大事な話があるって言ってたのは一体何だったんだよ?」


 もしかして弥恵が私にレズだって告白したことかな? 比呂巳は内心そうだろうなあ、と当て推量した。多分、協力して欲しかったんだろう。昨日のイベントで会った、先輩に告白するために。


 そう考えたところで心の中で小さい嫉妬心が生まれていることに比呂巳は気付いた。


 あれ? もしかして、私……。


 そんな風にやきもきと考えている乙女の傍らで、純は企みもおじゃんになってしまったし、比呂巳も全く百合に否定的でもないようだし、弥恵の気持ちを話してもいいんじゃかろうか、なんて思っていた。それが弥恵のためだろう。その判断は物凄く正しかったし、比呂巳の気持ちも純には知れていないが、この瞬間揺れていたのだ。吊橋効果とはちょっと違うが、暗闇は人の些細な気持ちを肥大化させる効果を持っていた。


 けれど、やはり不幸は襲ってくるもので、


「比呂巳、実はな、」


 と言いかけたところで純はパジャマの裾を踏んづけてしまい、躓いてしまった。そしてあろうことか純の体は比呂巳に覆いかぶさるように倒れてしまったのだ。すでに愛しのお兄様ではなくなったただのロリコンに襲われたとあっては盛大に叫ばずにはいられない。


「いぃぃぃぃぃやああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 と、そこで。


 ピカッ。


 フラッシュがたかれたように辺りが急に明るくなった。


 純が「ぷはっ」と比呂巳の柔らかい体から体を持上げた。明順応が追いつかないがどうやら比呂巳の後ろには弥恵が立っているようである。なかなか戻ってこない二人を心配して階下に下りてきたのであろう。弥恵は暗いところが大の苦手であることを純は知っていた。小さいころ、お化け屋敷に無理やり連れて行ったことがある。そのときの弥恵の怖がりようといったらなかった。にもかかわらず、暗闇の中、ブレーカーを上げてくれたのだ。なんと優しい妹だろうか。純は天使を見るように弥恵を仰ぎ見た。


 しかし、次第に機能を回復した純のつぶらな瞳が映し出したのは、般若のような形相をした弥恵の顔であった。


「や、弥恵ぇ、私、襲われちゃったぁよぉ。変態に変態されるところだったよぉ」


 比呂巳はいつの間にか純の体の下からすり抜けて、弥恵の足元に擦り寄っていた。弱々しい声音と裏腹に、「ざまあみろ」と言わんばかりのあっかんべぇが繰り出されていた。散々からかわれたことへの仕返しだろう。


「あっ、比呂巳、てめぇ、」


 そこで純の無駄口が塞がれた。「んあっ……」


「……一遍、死んで見る?」


 その充血しきった瞳、黒髪に隠れた無表情な白過ぎる顔。


 その御姿はまさしく地獄少女。


 リビングは一瞬で血の匂いの立ち込める、まさに地獄と化した。


 比呂巳はその光景に堪えられなくなって、逃げるように高野家から走り去っていった。

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チョコレート・ムース 枕木悠 @youmakuragi

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