最終話
第五話
千守:「これは。。。一つの瓶を全部わたしにあげる?!」
雲知:「ええ。あなたには足りないと思うから。あなた一人で飲んでも構わない!」
千守は、「こんなにお酒に強いのか?!」と思った。瓶をもらって、千守はぶつぶつ言った。
雲知は、「この瓶だと、あなたは酔っぱらわないことはないと思う。」と心の中で思ったが、別の思惑がある。
蔡千守の家
蔡千守が家についたら、千守はこの瓶の青紅に向かって考えていた。「どんな味がするか、一口飲んでみよう。」
1時間後、蔡千守の家
ベルが鳴った。酔っぱらった千守はドアの前に瞬間移動して、「だれ?」と聞いてドアをあけた。
目の前に立っているのは、李雲知。
千守:「雲知?」
雲知:「あなたを見に来るから。。。酒を飲んだ?案の定飲んだ?」こう言いながら、千守に近づけて嗅いだ。
千守:「ええ。。。。すこしだけ飲んだ。。」千守は上手に話せなかった。
雲知:「あら?沢山飲んだと思うよ?ハハ」雲知はすくすく笑った。
千守:「ほらほら、そんなに多くないのよ。」千守は言いながら雲知の手をとって、応接間に歩いた。
その瓶の酒は机の上に置かれており、雲知は手にとって、耳のそばで揺るがした。「案の定、すこししか残っていない。こいつが上手に話せないことから、そろそろだめか。」雲知はとても落ち着いている。
千守:「こい。あなたも一口飲んでみて、本当に甘いのよ。」千守は言いながら、コップをもってきて雲知に注ごうとした。
雲知:「あら。わたしは飲んではいけない。わたしはくこアレルギーだよ。この原料はくこだから、わたしは絶対飲んではいけないのだ。」雲知は慌てて頭をふって、一つの理由をつけて断った。
千守:「本当?このようなこともあるのか?」
雲知:「はい。」
千守は肩をすくめた。「それだったら」と言いながら、ぐっと飲んだ。
雲知:「穆炎はなぜ離れたのか?」
千守:「あなたはあいつが好きになったのか?」二人はふと口を揃えた。
雲知:「なにを言った?」雲知は先ほどはっきり聞こえなかった。
千守:「いいえ、何も言わなかったよ。あなたは先ほど何を聞いた?」千守は「穆炎」という二文字が聞こえたようだ。
雲知:「穆炎はなぜ離れたのかと聞いた。」
千守:「彼はなぜ離れたのか?。。。彼は。。。なぜ離れた?」酔っぱらった千守は、この言葉を二回繰り返してから、ちょっと首を傾けて、「彼は事故じゃないか?」と言った。
雲知の期待にあふれた目が急に暗くなった。「畜生、まだ酔っぱらっていない。」彼女は慌てて頭をさげ千守に酒を注いで、彼のところにもっていった。
千守は酒をもらって、雲知ににっこりと笑った。「どうしたの?穆炎に興味を持っているのか?あいつが好きになったのか?」言い終わると、ぐっと飲んだ。
雲知は疑惑の表情を見せた。「こいつはどうしたの。普段、穆炎の話をすると、すぐかっとなっているが、今日はなんでこんなに笑ったの?穆炎は死んだから、こいつは嬉しかったのか?!!」こう考えているうちに、思わず激怒し、大声で叫んだ。「そうだよ!穆炎が好きになったのを認めた。彼はあなたより千倍強い。普通の人じゃないからよ!あなたはやきもちをやいても、わたしは彼が好きだ!!」それから、千守のえりをつかもうとした。
千守は一瞬、嬉しそうに笑った。雲知が自分のえりをつかんだのに任せた。千守は半分酔っぱらった口ぶりで「じゃ、あなたはいま何をしに来たのか?」と聞いた。
雲知:「これは。。。」雲知は急に言えなくなった。千守が半分酔っぱらった様子を見て、雲知はもう一回酒を注いで、千守のところに持ってきた。「やっぱりお酒を飲め!」
千守:「ええ。」千守はおとなしくもらってぐっと飲んだ。それから、頭をあげ「行ってみろ。穆炎のどういうところが好きなのか?」
雲知:「ええ、彼の。。」雲知は答えようとしたところ、ふと思いついた。「こいつの質問になぜ答えなければならないのか?まず穆炎のことを聞くのが大事だ!」「穆炎はなぜ離れたのか」と再び聞いた。
千守:「それは。。。」千守はしゃっくりが出た。それから言い続けた。「ちょっと思いがけない事件があった。」
雲知:「思いがいない事件?どんな事件?」
千守:「竜。。。竜。。。。」
雲知:「竜?」
千守:「雷。。。雷が鳴った。。。。」千守はにっこり笑って、言葉を変えた。
雲知:「雷?。。。穆炎は雷に打たれた?」
千守:「ない。。。。そんなことはないよ。。。」
雲知:「彼はなぜ、隠れているのか?彼はどこにいる?」
千守:「。。。ほほほほ。。。しい。。」千守は指を伸ばし、雲知の口前に置いて、黙れという手まねをした。
千守:「彼は隠れていない。」
雲知:「彼は隠れていない?!!!」雲知は思わず手を差し伸ばして千守の肩をつかんだ。
「じゃ、彼はどこにいる?」
千守:「彼は。。。彼は。。。」千守は得意満面に自分を指差した。。。
雲知:「彼はどこ?」
返事する暇もなく、千守はもう机の上に倒れた。
翌日の昼間 高一3組み
学生A:「ねえ、あの日、千守は砲丸を13.1メートル投げて、優勝したって聞いたの。」
学生B:「そうか?こんなに痩せているように見える彼は、よく遠くまで投げたのね。」
雲知は、後に座っているクラスメートが、あの日千守が遂げた成績を騒いで議論しているが偶然に聞こえた。
雲知は、「千守は普段、わたしのために下からバケツ一杯の水を運んでくれる時、文句ばかり言ってくれた。なるほど、それは人前で気どったということか?」
夕方 李雲知の家
李雲知のお父さんは家に帰って、ドアをあげたら、一枚大きな白い紙を踏んだ。彼は頭を下げ見たら、その上に、「雲知、今日は補習に来ません。千守。」
お父さん:「あら。千守こいつはメモを書いた。しかも繁体字で書いたの!」お父さんはぶつぶつ言いながら、メモを雲知の部屋まで届けた。
お父さん:「二人は喧嘩した?」お父さんは聞いた。
雲知:「してなかった。」
お父さん:「おかしいなあ。ほら。」お父さんはメモを渡した。
雲知はメモをもらって読んだ。「え?この筆跡は。。。」昔、蔡千守の作文は学校の壁新聞の中に貼りつけられたことがあり、みんなも千守の文章力がわかると、雲知は覚えている。千守の筆跡は非常に特別で、それは。。。彼自身が書いたものらしくないからだ。こいつの筆跡は女の子が書いたように、すっきりしていて綺麗だと誰も思わなかった。
すべての文字をじっくり見ると、「雲」という文字はとりわけ見慣れたようだ。穆炎の筆跡のようだ!「穆炎!」雲知はメモを捨てて、ドアを出て千守の家に向かって駆けていった!
1分後、千守の家
ドンドンドンとドアを叩く音が聞こえ、千守はようやくドアを開けた。
雲知:「なぜ今日は来なかったのか?」
千守:「お腹を壊したから。お腹が痛い。」
雲知:「そのメモはあなたが書いたの?」
千守:「はい。どうしたの?」
雲知:「はやく言え。穆炎はどこにいる?」
千守は呆気にとられた。彼はどうしたらいいかわからなかった。
突然、時が停まった。空気が震え、だらしないおじさんは、雲知の後ろに現れた。
だらしないおじさん:「ばか!」だらしないおじさんは眉をしかめ罵った。
千守:「え?」
だらしないおじさん:「彼女はあなたの筆跡を識別できた。しかも、千守の筆跡がわからないわけがない。」
穆炎は頭を下げて、手を額に当てた。ここで、我々は彼を穆炎と呼んでいる。そうだ。既にわかったかもしれないが、雲知とだらしないおじさんの目の前に立っているのは、まさに穆炎だ。
穆炎:「つまり、彼女から今日、どんどん質問が来るわけ?」穆炎は冷たそうな顔をしてしばらくぼうっとしてから、ため息をついた。
穆炎:「実は、彼女に教えたかった。」
だらしないおじさん:「彼女に教える?彼女に何を教えるのか?」
穆炎:「いままでの経緯。全部」
だらしないおじさん:「彼女は受け入れられると思うのか?」だらしないおじさんは、肝心なところを聞いた。
穆炎:「三生石の上に、千守は86歳まで生きられると書いてある。つまり、わたしは少なくともここに70年いなかればいけない。その時、雲知はとっくに年を取っている。また、三生石の上に、彼女は千守の運命の人じゃないか?それだったら、わたしは、千守の代わりになるのが一番いい選択肢だ。」
だらしないおじさん:「いま、あなたの顔はもう千守になっている。これで本当にいけると思っている?」
穆炎の目が暗くなった。「もし彼女はわたしを愛していれば。。。」
しばらく沈黙が続いてから、穆炎はおじさんに向かって軽く手を振った。「時空ストップを解けましょう。」
だらしないおじさんはやむを得ず、「わかった。」と返事した。
1秒後、時空ストップが解除された。
「はやく言え。穆炎はどこにいる?」雲知は千守の目の前に飛んできた。
穆炎は軽くため息をついて、それから雲知の手をとって、彼女の掌に匈奴の言葉の穆という文字を書いた。
穆炎:「これはなんだかまだ覚えているのか?わたしは合わせて二回書いてあげたの。」
雲知は、「千守の言った通りだ。一回は200年前に、東屋の中に筆で書いた。もう一回は、2週間前に、学校の運動場の木の下に、ボールペンで書いた。
雲知は頭をあげ「あなたはどうしてわかったの?」と信じられない顔をしていた。
穆炎:「それは、わたしが書いてあげたから。。」雲知は一歩後退りして、千守を眺めた。
穆炎:「千守はわたしのために、思いがけない事件に遭遇し、天の神様に打たれ、彼の魂が消えてしまった。やむを得ず、わたしはこの体に入って、彼の命を維持している。」
雲知:「あなたは穆炎?」雲知は口を大きく開けた。「はい、そうです。」
雲知はゆっくり近づけ、千守の顔を眺めていた。
穆炎:「あなたは。。。このようなわたしを受け入れられるのか?」穆炎はじっと見つめていた。
雲知:「千守はもう永遠に戻れなくなるということ?」
穆炎:「彼の魂があの世に行っているのではなく、ばらばらに打たれた。」
雲知:「じゃ。。。じゃ。。。」
穆炎:「だから、わたしはこの体の中に、76年生きなければならない。」
雲知:「76年?」
穆炎:「千守の人間世界での寿命は86歳だ。」
雲知は呆気に取られ、千守をぼうっと見ていた。
穆炎:「わたしは、あなたが昨日わたしに言ったことを覚えている。。。」穆炎は首をちょっと傾けて、言った。「昨日、わたしに何を言ったか、まだ覚えているのか?」
雲知は頭をさげ考えた。ふと彼が半分酔っぱらった時に聞いたことを思い出し、思わずぞっとして一歩後退りした。
自分の前に立っている千守は、若干得意そうに明るく輝いた顔をして、笑いながら彼女を見ていた。
穆炎は両手を伸ばして、涙ぼろぼろだった。
雲知:「穆炎?」しばらくためらったあと、雲知は近づけて見ようとした。
妙な状況じゃない?千守の顔を見て、彼女は、夢の中で、馬に乗って蔡允の兵営テントの前にいって大声で叫んだ時、中から歩いてきた穆炎、千灯鎮の灯り祭りに一緒に行った時のこと、将軍宅の東屋の中で字を書いたこと、また西漢の時代と3週間前、穆炎が自分の手をとって水切りを教えたこと等思い出した。映画を見たように目の前に浮かんできた。
雲知はもう我慢できず、涙を流し千守の懐に飛びついた。「ウウウウ。。。あなたはもう消えていった、もういないと思ったけど。。。ウウウウ。。。」
穆炎:「バカ娘、わたしはここにいるじゃない?」
長く泣き崩れてから、雲知は涙がかかっている顔をあげ聞いた。「だけど、千守はどうなる?千守はまたもどってくるのか?」
穆炎:「100年後、千守の魂が天と地の間で徐々に形を形成してから、六道輪廻に入る。つまり、あなたの来世に、あなたとわたしは彼に会えると思う。」
雲知は千守の懐にしがみついて、相変わらず無言のまま。
穆炎のお墓の前
雲知と千守、いいえ違う、雲知と穆炎は、二人肩を並べて穆炎のお墓の前に立って、一杯の清酒を土に注いだ。
雲知:「千守、穆炎を助けて、ありがとう。」
穆炎:「あなたは生まれ変わる日に、わたしは必ずさがしに行く。」
雲知:「あなたはわたしをさがしにくるのか?」そばにいる雲知は頭をあげて聞いた。
穆炎:「もちろん!もちろんさがしにくる。」穆炎は雲知を自分の懐に抱き締めた。「どれぐらい経っても、あなたをさがしにくる。その時、あなた達はわたしを覚えてくれないかもしれない。その時、あなたはまだわたしが好きなのか?」
雲知:「ええ。。。わからない。」雲知は、腕白そうに穆炎に瞬きをした。
終わり
千守の秘密:家神穆炎 張雨香 @Rain1112
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