第9話 王都、帰還への希望
俺、
後1時間ぐらいで王都に着くらしいが、俺は馬車の中であることを考えていた。
(流れで英雄になるって言ったけど、もしかしなくても元の世界に帰りずらくなってるよな)
頭を抱えながら、どうするべきか考えても何も思いつかない。
「ミライさん、着きましたよ」
何度も考えてるうちに王都に着いたらしい。
俺は馬車から降りて、鎧の男について行いく。
すると冒険者ギルドとは比べものにならないくらい大きい建物に案内された。
そして大きな部屋に入ると鎧を着た人が沢山居て、部屋の奥で一人の男が座っていた。
「まずは来てくれてありがとう、そしてこちらのわがままにつきあってもらって」
静かに男は口を開く。
「私の名前はフレディス、これからよろしく」
そう言いながらこちらに近づき、とても優しい笑顔で手を前に出してくる。
「はい、よろしくお願いします」
俺も手を前に出し、握手する。
「フレディス、そいつが異世界人か?」
部屋の奥から少し目の下にくまが出来ている男が出てきた。
「ああそうだが、どうした?」
「話はもう終わったか?」
「終わったが、それがどうした?」
「じゃあ、借りてくぞ」
「おい、ちょっと待て、おい、インジ」
後ろでフレディスさんが叫んでいたが、男の人に腕を引っ張られそれどころじゃなかった。
そして、少し散らかった部屋に連れてこられた。
「俺の名前はインジニアス、君が異世界人であってるね?」
「はい、そうですけど」
「よし、それじゃあ色々と質問させてもらおうか」
「質問?」
「君の鞄、かなりの技術が使われている、その技術を知りたくてね」
インジニアスさんは俺の世界の技術を知りたいらしい。
「すいません、技術とかよく知らないんです」
「そうか、じゃあ君の世界の話をしてくれないか?」
「えっと、いいですけど……どうしてですか?」
「異世界の話から新しいアイディアが湧くかもしれないからね」
「わかりました」
そうして俺は元の世界のことを話した。
「なるほどね、君の世界はそんな技術があるのか」
「話してくれてありがとう、礼と言っては何だがこっちも話せることは話そう」
「じゃあ、元の世界に帰る方法って知ってますか?」
それを聞き、インジニアスさんが少し驚いたような顔をし、すぐに話し出した。
「方法は知ってはいるが……実際にできるかはわからない」
「どういうことですか?」
「古代の話だが、異世界から来た人が元の世界に戻ったこともあるらしい」
「古代の話?」
「この世界には古代から異世界から人が来たという話があってね」
「その話には元の世界に戻った話もあるが、それが本当かはわからない」
「だから、実際にできるかはわからないんだ」
インジニアスさんは少し顔を暗くしながら続きを話す。
「その方法はとても強力な力で世界に穴をあけることだ」
「世界に穴ってどういうことですか?」
「世界には見えないが壁があってね、その壁を壊す程の力があれば穴を開けられる」
「そして、世界の狭間に出て、他の世界にも穴を開けてその世界に入れば、世界を移動できる」
「らしいが、世界の壁に穴を開けることができるかもわからないし」
「なにより、世界の狭間に長くいると死ぬ」
「死ぬって何でですか?」
「世界の狭間には何もない、ただ無が広がってるだけ、だから呼吸も出来ない」
「それだけじゃない、無に長くいすぎると消滅する」
「消滅……」
俺は思ってもなかった言葉に驚く。
「消滅って……何でですか?」
「そこはよく知らない、有は無に長くはいれないそれしか知らないんだ」
「世界を移動する方法はそれだけじゃないはずだが、今俺が知ってるのはこの方法しかない」
「そうですか、ありがとうございました。」
出来るかは置いといて、元の世界帰れる方法はある、それを知れて良かった。
「そういえば、俺をここに連れてきて良かったんですか? 結構無理矢理な感じでしたけど」
少し落ち着いたら出てきた疑問をインジニアスさんに聞く。
「ん? それなら多分大丈夫だろう」
インジニアスさんは笑いながら答える。
「いや、今多分って言いましたよね、どうするんですか、大丈夫じゃなかったら」
俺はその返しを聞いて、少し焦りが出てくる。
(大丈夫じゃなくて俺まで何かあったらどうしよう)
そんな考えが頭をよぎる。
「大丈夫 大丈夫、話は終わったって言ってたじゃないか」
やばい、この人だいぶ適当な感じだ。
「なにより、あいつとは幼馴染みだし、俺は結構高い地位だから、説教ぐらいで済むだろう」
やっぱりこの人結構適当だ。
「本当ですか? 実はとんでもないことやらかしてたとかないですよね?」
「ないない、国の内部情報を漏らしたとじゃないし、そんな大事にはならない」
それを聞き、とりあえず安心した。
属性世界生活 怪獣好きの男 @lovekaizyuu
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